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2025.02.07

金属資源の安定供給で
世界の国々の
発展を支えたい。

金属資源本部 吉田 尚記
金属資源本部
吉田 尚記
Profile

大学卒業後、日系及び外資系証券会社で6年間勤務した後、2013年に三井物産に入社。金属資源本部に配属され、フィリピンとニューカレドニアでニッケルプロジェクトを担当。その後、アルミニウム関連のプロジェクトとトレーディング業務を経た後に、シンガポールに駐在し、アジア・パシフィック全域の非鉄貿易物流を担当。現在に至るまで、鉄鉱石やアルミニウム、ニッケル、銅、錫等多様な金属資源を扱う業務に従事してきている。

三井物産で取り組んでいることは?

私は現在、金属資源本部 鉄鉱石部 豪州事業室に所属し、オーストラリアで三井物産が展開する鉄鉱石ジョイントベンチャーの運営管理を担当しています。

現在の業務に就くまでの経緯は?

大学卒業後、日系及び外資系証券会社で計6年間勤務しました。その後、世界をもっと知りたい、世の中の役に立っている実感がより強く湧く仕事がしたい、と思い2013年に三井物産へ転職しました。

入社後は希望通り金属資源部門に配属され、鉄鉱石、アルミニウム、ニッケル等、多様な金属資源を扱う業務に従事してきました。これらの資源は社会基盤を支えるものであり、その重要性を日々実感しています。特に鉄鉱石プロジェクトは、50年以上にわたって日本の経済成長を支えてきた歴史的な事業です。その責任の重みと同時に、「この国の発展に貢献しているんだ」という実感も抱けて、やりがいを強く感じています。

現在の業務に就くまでの経緯は? 吉田 尚記

三井物産での最初の1年はフィリピンとニューカレドニアでのニッケルプロジェクトを担当しました。ニッケルはステンレス鋼や電気自動車のリチウムイオン電池に不可欠な重要金属です。フィリピンのパラワン島では、アクセスが困難な自然豊かな地域に整備された加工プラントや生活インフラを目にし、金属資源プロジェクトが地域社会に与える影響の大きさを肌で感じました。

その後の4年半は東京でアルミニウム関連のプロジェクトとトレーディング業務に従事しました。ラオス南部でのボーキサイト探査プロジェクトでは、開発前の資源調査や内陸国特有の輸出課題に取り組みました。続く5年間のシンガポール駐在では、アジア・パシフィック全域の非鉄貿易物流を担当し、西はパキスタン、北はベトナム、南はオーストラリアまでを対象に、アルミニウムやニッケル、銅、錫等多様な金属を扱いました。担当すると現地に行きますし、現地の人と接すると、その場所の歴史や産業の成り立ちを知ることができます。それが積み重なって、世界や地球のことがよりよく分かってくる点に、面白さを感じています。

現在担当している鉄鉱石プロジェクトはどのようなものか?

非鉄金属での約10年の経験を経て、現在は鉄鋼原料である鉄鉱石を担当しています。鉄は建材や輸送機器等、社会の基盤を支える不可欠な素材であり、その年間需要量は約19億トンと、2位のアルミニウム(約1億トン)を大きく上回ります。鉄鉱石のビジネスはスケールが大きく、これまでの非鉄金属での経験と併せて金属全体を俯瞰的に理解できるようになったと感じています。

現在私が担当している西オーストラリア州のプロジェクトもまた規模が大きいものです。内陸に位置する鉱山からの採掘を実現するため、資源探査や土地整備、採掘機械の導入、更に輸送のための約1,000キロの鉄道網や港湾の整備等、多岐にわたる取り組みを1960年代から進めてきました。

このプロジェクトは、日本の経済成長を支え、日豪関係の深化にも寄与しており、1972年の初出荷以来50年以上が経ちますが、長い歴史を持つジョイントベンチャーを現代のニーズに適応させながら継続しています。

現在担当している鉄鉱石プロジェクトはどのようなものか? 吉田 尚記

金属資源事業の特徴は?

金属資源ビジネスの最大の特徴は、資源の産出地や需要地に応じた事業展開にあります。例えば、ラオスやベトナムではボーキサイト、インドネシアではニッケルが産出されますし、南西アジアでの建設需要を支える鉄、アルミニウム等、地域特性に応じて資源の需要は変化します。表層的なデータでは見えない市場構造を学び、地域特性を考慮した事業を展開できる点が、この仕事の醍醐味です。

三井物産の金属資源事業の独自性は、地下資源と地上資源(リサイクル資源)の両方を扱う点にあります。例えば、アルミニウムでは鉱石の精製から製品加工、更にスクラップのリサイクルまで、バリューチェーン全体に関与しています。こうした幅広い事業展開は、総合商社だからこそ可能な強みです。また、鉄、銅、アルミ、ニッケル、リチウム等、取り扱う金属の種類が多岐にわたる点も特徴といえます。

私自身もこれまでに鉄鉱石、アルミ、ニッケル、銅、錫等、多様な金属を担当してきました。特に9年間携わったアルミニウムには深い愛着があります。採掘、精製、リサイクルまで全プロセスを経験したことで、他の金属を扱う際にも全体像を俯瞰し、より的確なソリューションを提供できるようになりました。担当する金属を深く理解し愛着を持つことで、お客様やステークホルダーのニーズに応える価値を生み出せると実感しています。

また、金属資源事業の本質的な魅力は、国や地域の発展を支える基盤作りに携われる点にあります。鉄も非鉄もすべて必要で、各資源がそれぞれの分野で重要な役割を果たしているため、金属資源の供給は社会の根幹を支える重要な事業です。

一方、各国政府にとっても金属資源産業は重要であるため、この事業は政策やマクロトレンドの影響を強く受けます。そうした変化に柔軟に対応することが求められるのも特徴です。例えば、インドネシアでは2014年にニッケル鉱石の輸出が制限され、高付加価値化した製品のみを輸出する方針に転換されました。この政策変更に対応するため、新たな供給元の開拓や輸出先の調整を行いました。こうした政策変更や価格変動に迅速に対応する能力が、事業成功の鍵を握ります。

三井物産の広範なネットワークとリソースは、こうした環境変化への対応を可能にする大きな強みです。これからも柔軟性を持ち、社会や顧客の多様なニーズに応えながら、持続可能な資源供給を実現していきたいと考えています。

金属資源事業の特徴は? 吉田 尚記

今後の事業の展望は?

金属資源のビジネスにおいては、安定供給を維持することが重要です。そのため、既存の取り決めをパートナー企業と調整しアップデートするなど、時代の変化に伴い、プロジェクトを進化させ続ける必要があります。

また、金属資源事業の特徴は、地下資源が有限であることです。新たな埋蔵地の調査や開発に加え、既存の権益やインフラを活用した新たなアライアンスの構築等を常に模索しなければ、長期にわたる安定供給は実現できません。こうした取り組みを、歴代の担当者たちが積み重ねてきたことで、現在の事業基盤が築かれているのだと実感しています。

こうした大プロジェクトでは一担当者の裁量には限りがありますが、プロジェクトの最前線で事業を支えつつ、経営幹部に事業のビジョンを伝え、意思決定をサポートする重要な役割を担っています。

次世代へ引き継ぐ基盤を築くものであり、社会的責任の一環でもあると考えています。

あなたの志は?

私には、世界に貢献することになるプロジェクトを自分で生み出したい、という想いがあります。現在担当する鉄鉱石事業は、日本の経済成長を支え、日豪関係の深化に貢献してきた歴史的なプロジェクトです。この事業を通じて、資源供給の安定が社会に与える重要性を実感し、同様に意義あるプロジェクトを自ら創出し、成功に導きたいと考えるようになりました。

この志の背景には、金属資源本部で活躍する先輩方の影響があります。先人の想いや気持ちは、いろんな形で残っています。資源は動かないので、あるところにはあるし、ないところにはない。ある場所でやるしかないのですが、そこは必ずしも都市部のような生活ができる場所ではない。そうした現場を切り拓き、ゼロからプロジェクトを立ち上げ、全身全霊で取り組んできた先輩方のこれまでがあり、今があります。先輩方の姿に感銘を受け、自分も挑戦を続けたいという強い意欲が芽生えました。

気候変動や脱炭素化が進む中、金属資源分野は地下資源の希少性や資源供給プロセスの脱炭素化といった課題に直面しています。これらの課題に対応し、持続可能な形で資源を安定供給して、世界の国々の発展を支えていきたいです。

(2025年2月現在)

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