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2023.11.20

海底ケーブルで
アジアの豊かな未来を
支えたい。

プロジェクト本部 大加戸 彩香
プロジェクト本部
大加戸 彩香
Profile

2013年入社。洋上石油・ガス生産設備プラントの建設・運用・投資など資源インフラ関連プロジェクトを担当したのち退職し、3年半フィリピンのインフラ開発会社に勤務。帰国後、長期目線で国づくりに資する仕事がしたいと三井物産に再入社し、アジアの発電案件開発等に従事。現在は、国際海底通信ケーブルなどの通信インフラ開発を担当している。

三井物産で取り組んでいることは?

主に通信インフラに関わる2つの事業開発を担当しています。1つは東南アジアにおける海底通信ケーブルの事業です。当社は株主として、投資先企業が開発する海底通信ケーブルの敷設・運営事業に携わっています。2つ目は、日本と東南アジアを結ぶ海底通信ケーブルの新規開発です。さまざまな国の領海を通るため、あらゆる方面への貢献を考慮した各国との調整が必要となり、合意形成の難易度が高いですが、これからアジアでの通信需要がひっ迫すると想定して社会課題解決に挑戦しています。

海底ケーブルはどのように敷設するのか?

海上をゆっくり進むケーブル敷設船から、ケーブルを海底に沿うように垂らしていきます。数千km単位のケーブルを複数本に分けて敷設し、最終的にそれらの端と端を船上で継ぐことで完成します。例えば現在当社で取り組む日本とアメリカを結ぶ計1万kmにも及ぶケーブルは、製造にも敷設にも時間がかかるので、完成は2024年末を予定しています。
ケーブルの中央には、髪の毛ほどの細さの特殊なガラスでできた光ファイバーが通っています。ここを光信号が通ることで、私たちは通信データのやりとりをしています。光ファイバーの周りは厚い保護用のコーティングが施されています。このうち、全体を保護する鉄のコーティングは海の深いところでは薄く、浅いところでは分厚くなっています。浅いところでは漁船の底引き網などに引っかかって切れる危険があるので、より厚く保護をしなければなりません。場合によっては保護のために海底に埋めてしまうこともあります。
大陸間あるいは国際間の海底通信ケーブルは数千~1万数千kmに及ぶことから、地形やその利用法に応じて、臨機応変にケーブルの太さやルートを考える必要があります。そのため、敷設できる企業は世界でも数社しかありません。私たちは、そうした企業と共に事業に取り組んでいます。

海底通信ケーブル事業に取り組んでいる理由とは?大加戸 彩香

海底通信ケーブル事業に取り組んでいる理由とは?

現代の生活では、スマートフォンでコミュニケーションを取ったり、決済をしたり、動画を見たりと、インターネットへのアクセスが生活に必要不可欠になっています。それを支えるのが通信インフラです。海底通信ケーブルは、国際通信の99%を担っています。普段は目につきませんが、縁の下の力持ちなのです。
私が所属しているプロジェクト本部はインフラ、なかでも発電や資源開発などを主として手掛けてきましたが、これからますます通信分野が伸びていくことに着目し、数年前から海底通信ケーブルでの事業に取り組みはじめました。
当社にとって海底通信ケーブルは新しい取り組みであるため、現在は日々試行錯誤で進めていますが、長く取り組んでいけば、この領域における新たなビジネスアイデアを当社が自ら提案できるようになるかもしれません。そのような姿を見据えながら、プロジェクト開発から事業群に育てる最初のステップを担っています。

インフラ開発への配属を希望した理由は?

大学で土木工学を専攻していたころ、日本の建設会社が建設中のアルジェリアの高速道路を視察する機会がありました。高速道路という社会インフラを遠く離れた地で作るというのはスケールの大きな話です。現地の方々や駐在されている方たちが、プロジェクトを成し遂げたことで生まれた一体感を共有されている姿を見て、私もインフラを仕事にしたいと思いました。
入社当初は、シェールガス開発に関連する新規事業を担当し、その後は洋上石油・ガス生産設備プラントを建設・運用・投資するチームに異動になりました。現在の部署では当初、東南アジアのインフラ開発を担当し、太陽光やガス火力などの発電分野を扱ってきました。商品ではなく地域担当であったため、国の発展に資する幅広いインフラ開発を担当できるのが面白かったです。
昨年から通信インフラの開発を中心とする部署の配属となり、その業務を通じて海底通信ケーブルについての理解を少しずつ深め、新たなプロジェクト開発チームにも参加の手をあげました。

事業の拡大に取り組む中で直面した難問は?大加戸 彩香

事業の拡大に取り組む中で直面した難問は?

私たちの主なお客様は、国の発展のために仕事をされている各国の通信インフラを担う企業です。お客様、そしてその国の期待にも応えたい一方、事業として成り立たせる必要もあります。その真剣勝負のなかで、どういったインフラを構築するのか、どういったビジネスモデルにするかを協議するのには、時間も労力もかかります。

その難問をどう乗り越えたか?

日々の地道な業務に加え、事業についての最新知識、サービスのトレンドを把握し、次に必要なインフラは何かを考えたりすることの積み重ねが大切です。この繰り返しを通じて得られる知見・新たな発想を、出張先でのパートナーや出資先の企業との交渉の場で活かし、ソリューションとして先方へ提示できるかどうかがこの仕事の要だと思っているので、交渉・提案時以外の時間をどう過ごすかが重要だと考えています。
また、インフラ開発はどの国の方々にとっても重要な大規模投資になります。だからこそ、こちらも同じ熱量を持たなければお客様の期待に応えられません。熱量を持った方々と仕事ができる点にも面白さを感じ、日々の研鑽に励んでいます。

あなたの志は?大加戸 彩香

あなたの志は?

以前、夫の駐在にともなってフィリピンへ引っ越し、3年半ほど現地のインフラ会社で働いていました。次から次へと新しいビルが建ち、新しいサービスが取り入れられるのを間近で見て、エネルギッシュな国の勢いを肌で感じました。
そこでスマートフォンが生活のインフラとなっているのを見て、エマージングマーケット(新興成長市場)である東南アジアで通信需要は必ず増えていくと確信しました。コミュニケーションから決済まで、すべてをスマートフォンが担う現在、通信インフラがなければ新しいサービスも展開されず、ますます重要性が増しています。長い目で見れば国の発展を左右する要因にもなるでしょう。
一方で、現在の東南アジアの通信事情を見ると、通信容量やカバレッジの面で大いに改善の余地があるのではないかと感じます。そうした需要と供給のギャップを踏まえ、担当地域の人々に貢献できるようなインフラを作るのが、私のミッションです。
フィリピンでは、周囲の人が「この国のために」と働いており、刺激を受けました。一個人としても、東南アジアのより豊かな未来に貢献できるような仕事をしたいです。

今後の事業の展望は?

以前はメールで動画を送信するには時間や通信料を気にしていましたが、今はより安価に、そして瞬時に送受信できるようになりました。ストリーミングサービスの利用が可能になった背景には通信インフラの大容量化があり、通信インフラはサービスの可能性をより広げます。通信速度とカバレッジが上がれば、機器同士の連携はより密に相互作用していきます。AI、IoT、自動運転と未来を構成するさまざまなサービスは「通信」が基礎インフラとなります。将来的には基礎インフラとサービスの垣根がなくなり、例えば自動運転が主流となる物流事業を、通信会社が運営する未来もあり得るかもしれません。インターネットの普及は歴史がまだ浅いですが、インターネットがない世界は今では想像しづらいですよね。通信インフラはそのように、人々の生活を大きく変える可能性を秘めているものです。現時点ではまだ存在しないサービスの到来も含めて、私たちには何ができるかを考えていきたいです。

(2023年11月現在)

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