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2023.11.20

人流データを活用して
より良いまちづくりを
実現したい。

株式会社GEOTRA 金子 佳歩
株式会社GEOTRA
金子 佳歩
Profile

三井物産に入社後、金属資源本部にて金属原料のトレーディング、事業投資、海外駐在を経験。その後グループ内のコンサルティングチームで、複数の関係会社向けの経営改善支援を担当。2023年にGEOTRA社へ出向。営業戦略部に所属し、新規顧客の開拓、受注後のカスタマーサクセス、お客様の声をもとにしたサービス・プロダクトの拡張に取り組む一方、人事制度の設計などの人事関連業務も担当している。

三井物産で取り組んでいることは?

2023年の2月から、GEOTRA(ジオトラ)という会社の営業戦略部で顧客開拓や受注後のプロジェクト管理を担当しています。また中長期的な目線で社会のニーズに応えていくための新規サービス・プロダクト開発の推進や、社内の人事制度設計などの人事関連業務も担当しています。GEOTRAは「データの力で社会を前に進める」をミッションに、KDDIと三井物産の合弁会社として2022年5月に設立された会社です。フルタイムで勤務しているのは9名、インターン生や業務委託の方を含めても30名ほどのまだまだ小さな組織です。

位置情報をはじめとするビッグデータと、データモデリング技術を掛け合わせたデータ活用のプロフェッショナルとして、まちづくりや都市インフラの開発に携わるお客様に、主に人流データを活用した課題解決のコンサルティングをしています。設立から間もない会社ではありますが、日本の国づくりを担う多くのお客様に活用いただいています。

人流データとはどのようなものか?金子 佳歩

人流データとはどのようなものか?

人が、いつ、どこに、どのように移動したのか、実社会における人の動きを把握できるデータです。まちづくりや交通、土木、観光などさまざまな分野における現状把握と、その先の施策の立案や課題解決に活用されています。例えば、人流データをもとに渋滞の要因を特定し、その解消に向けてどのような施策を行うか、意思決定をするための材料になります。

これまでは、街中で通行者の数を手動でカウントする、あるいは駅前でアンケートを取ったりするほか、数年に1度の全国規模での道路交通実態調査などが、一般的な人流データの取得方法でした。現在はスマートフォンのGPS位置情報などから、より網羅的な人流データをタイムリーに取得することができるようになっています。

GEOTRAの人流データの特徴は?

人流データに関連するサービスは増えていますが、GEOTRAではGPS位置情報と独自のプライバシー保護技術を掛け合わせ、より細かな粒度の人流データを提供しています。プライバシー保護と、生活者一人ひとりの動きを詳細に捉えることを両立した技術が大きな強みです。例えば、「このエリアに住む30代の男性が、どの経路で出勤し、どこで食事をし、業務後にどこに寄って、何時頃帰宅するか」など、一人ひとりの行動経路やパターンを、さまざまな角度から細かく分析できます。シミュレーション分析にも適しており、現状の把握だけではなく将来を予測することでより確度の高い打ち手を検討することが可能です。

ただ、お客様にデータだけを提供しても、それをもとに課題を特定し、打ち手を決めることは容易ではありません。そのためデータを提供するだけでなく、お客様ごとの課題や仮説を伺いながら、データをもとにより効果的な打ち手を講じられるよう、データ利活用の方法を定め、実際のデータ解析を担う形で伴走をしています。
用途は多岐にわたります。具体事例として、現状の人流を把握して都市の再開発計画に活かす、バス・鉄道など公共交通機関の利用状況を可視化し、交通ネットワークの最適化を図る、交通渋滞緩和策を検討する、などがあります。他にも、老朽化が進む道路や橋など、土木領域での活用事例もあります。日本では、インフラの老朽化は社会課題になっています。土木建造物のメンテナンス計画を立てるために、欠損時の経済損失をシミュレーションにより導出し、優先順位付けを行った事例があります。また工事による影響の事前予測や、工事影響を最小化する工事計画の策定を行うこともできます。

プロジェクトを進める中で直面した難問は?金子 佳歩

プロジェクトを進める中で直面した難問は?

データは、それだけでは価値にはなりません。データを活用して、お客様にとっての価値を生み出して初めて意味があります。「お客様にとっての本当の価値」に繋がるデータ活用の方法を見つける過程に難しさがあります。目指すゴールが明確に定義されているお客様ばかりではないので、ゴールの定義から一緒に考えることもあります。使うべきデータと、具体的な活用方法をいくつも提案しながら共に解を探すには、時間を要することもありますが、お客様にとっての最良の意思決定のために、GEOTRAとしてできる最大の貢献は何かという難しい問いに、日々向き合っています。

その難問をどう乗り越えていますか?

まずは何よりも、データを活用して何を実現したいのか、というお客様の課題を聞くことを重要視しています。画一的なプロダクトやサービスの提案ではなく、傾聴を大事にしています。その上で、私たちがどのような形で応えられるのか社内で知恵を出し合って提案を行い、再度お客様と議論を重ねて、意思決定に役立つ機能の提供に努めています。本音を話すに足るパートナーとして信頼してもらえて初めて、本気の議論ができ、私たちの提供するデータや機能の価値を認めてもらえて初めて、実際の取り組みに繋がります。またデータはとても重要な指標ですが、それだけが全てではなく、そこには人がいて、それぞれの生活や文化があるという想像を働かせることも意識しています。

さらに、話を聞きながら見えてきたお客様の課題が、業界全体の課題であるケースもあります。私たちの提案が業界、ひいては社会課題の解決につながる可能性も日々感じています。例えば、バス会社が現在のバスダイヤや路線の見直しを検討する事例があります。人流データをもとに、利用状況や、時系列の変化も含めた都市内の移動実態を明らかにし、最適なダイヤや路線を構築できれば、利用者にとってもバス会社にとっても有益であり、他のバス会社にも展開できます。路線バスは利用者にとって必要不可欠であり、脱炭素や渋滞対策においても重要な位置づけですが、利用者の減少に悩んでいるケースも多いです。「地域のために、なんとかサービスを維持したい」、「近年の行動変容に合わせたサービスに変革したい」と、社会への継続的な価値提供や業界のあるべき姿を考えている方々と共に打ち手を考える過程は、学びが多くやりがいも大きいです。

あなたの志は?

GEOTRAや自分自身の存在と働きかけを通じて、社会に良い影響をもたらしたいです。
中学生の頃、アフリカで寄生虫の特効薬を創ることを志していた時から、社会課題の解決に貢献したいという軸は変わっていません。社会と向き合うお客様の課題を解決することが、より良い社会につながる一歩だと思っています。学生時代にはNPOや政府機関での活動も経験しましたが、ビジネスだからこそ持続的かつ革新的な価値を社会に提供できる可能性も感じています。現場の最前線でお客様の声を聞き、GEOTRAの強みである「データ」の活用と実装の支援を通じて、社会をより良い方向に後押ししたいという想いが、私の原動力です。

今後の事業の展望は?金子 佳歩

今後の事業の展望は?

都市開発や交通、土木、流通、医療など、多岐にわたる業界のお客様と徹底的に向き合い、地域の活性化やより良いまちづくりに貢献していきたいです。データを軸に、お客様が目指すものの実現をお手伝いすることが私たちの存在価値です。“価値”は、GEOTRAが定義するものではなく、お客様や社会が評価するものだと考えています。「本当に価値を提供できているか」を自問自答しながら、業界のプロであるお客様と共に共創していく意識を大切に、課題解決やより良い社会の実現につながる提案と機能を提供していきたいです。

(2023年11月現在)

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