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2023.01.26

トラックから
インドネシアに
安心安全な毎日を届けたい。

モビリティ第一本部 佐藤 可歩
モビリティ第一本部
佐藤 可歩
Profile

三井物産入社後、船舶への事業投資の部署を経て、2018年から現在のモビリティ第一本部へ配属。米国トラックリース会社への出資および、同社のインドネシアへの海外展開のプロジェクトを担当。

三井物産で取り組んでいることは?

現在所属しているモビリティ第一本部では、米国最大手のトラックリース会社への出資を担当しています。同社は米国で35万台のトラックを保有しており、世界第一位の規模を誇る最大手ですが、トラックリース事業を他国へ展開しておらず、着任時に海外展開による事業拡大の可能性を感じました。この事業を海外へ展開することで人々の暮らしに安心を届けることをミッションとして、同社のトラックリース事業をインドネシアに展開するプロジェクトに取り組んでいます。

トラックリース事業とはどのようなものか?

トラックリースは、トラックに関わること全てのオペレーションを担うなど、扱う範囲が非常に広い事業です。トラック自体の調達はもちろん、メンテナンスや点検、アクシデント対応についても一括して引き受けます。事業のメリットとしては、質の高いトラックを供給できるため物流を安定的に支えられるほか、要冷蔵の商品を冷蔵のまま届けられるなど、物流の質も高められることが挙げられます。トラックリース事業自体は、出資先の会社が海外展開を行っていない段階でのプロジェクトだったので、インドネシア国内には競合がいない状態でした。そのため、最初の取り掛かりの部分から作らなければならず、一から会社を立ち上げるという大きな経験をしました。

なぜ東南アジアで展開するのか?佐藤 可歩

なぜ東南アジアで展開するのか?

東南アジアへの進出は、需要や市場の大きさ、パートナーの有無などを踏まえて、絞り込んだ末に決定されました。現地のローカルパートナー側が興味を持ったことも大きな要因です。また、自身がインドネシアで見た実情が「最初のトラックリース事業をインドネシアで展開したい」という強い想いにつながりました。視察したインドネシアの市場では、衛生的でない食材が並んでいる光景に直面しました。冷凍トラックも、冷蔵トラックも普及していない地域だったので、この地にトラックリース事業を進出させる必要があると実感しました。現地の市場では、既に今の物流が慣習になっているので、「新鮮な食品は求められていないのではないか」という懸念もありましたが、より良い物流がより良い食生活をもたらすことを実直に説明して、現地のパートナーを巻き込んでいきました。当初、米国トラックリース会社はインドネシア市場進出を全く検討していなかったのですが、インドネシアで展開する意義を丁寧に説明し、交渉していきました。

プロジェクトを進める中で直面した難問は?

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による影響です。どの会社も苦境に立たされたと思いますが、このプロジェクトにとっても大きな壁として立ちはだかりました。パートナー選びや市場調査を事前に行い、会社設立にあたっての準備に奔走していたのですが、いざ契約を結ぶというタイミングで、新規事業の立ち上げ自体が困難な状況になってしまいました。コロナ禍以前は、米国トラックリース会社とインドネシアのパートナーの双方がプロジェクトの意義に賛同したことで、比較的順調に話が進み、社内でも最終承認直前まで至っていた矢先での出来事でした......。現地にも赴けず、事業計画の前提条件も崩れたことから、プロジェクトの実施自体を疑う声も上がってきました。

その難問をどう乗り越えたか?佐藤 可歩

その難問をどう乗り越えたか?

コロナ禍の生活様式の変化を捉えて、ピンチをチャンスに変えました。新型コロナウイルスの感染拡大による影響は、eコマース市場の拡大にもつながったので、「物流の需要は大きく、この時期だからこそ需要があるところに挑むべきだ」と粘り強く社内外で説明を続けました。最終的には、トラックリース会社の社長から「この案件、可歩に任せてみたい。案件が面白そうなのはもちろんだが、その熱量にまず惹かれている」というコメントをもらえたことが印象的でした。また、同社からの「延期になって、逆に調査の時間が増えたと思えば良い」という言葉通り、コロナ禍で新たに生じた前提条件もしっかり検討する時間を作ることができました。今では、新会社を立ち上げた事業開始直後にコロナ禍に見舞われるより、結果的には良かったかもしれないと感じています。
コロナ禍当初は、トラックリース会社の米国本社では「新規事業立ち上げを行っている場合ではない」という声も多く聞こえ、インドネシアのパートナー側もコロナ対応で忙殺されており、プロジェクト自体が立ち消えになる可能性もあるような状態でした。ですが、自分の中で「この事業はインドネシアの人々を幸せにする」という確信があったので、折れずに信念を持って取り組みました。インドネシアのパートナーから「新会社を設立したら絶対に可歩に来てほしい」と声をかけてもらった際には、涙が止まりませんでした。

あなたの志は?

私たちが日本で日々感じている当たり前や幸せを、世界の他の国や地域でも感じてほしいという夢を抱いています。その夢をかなえるためにも「物流システムを通じてインドネシアに安心安全な毎日を届けたい」と志しています。私がインドネシアへ初めて行った時に受けた衝撃を忘れられません。日本では、注文した商品が確実に次の日に届くような、安心安全の物流が当たり前になっていますが、インドネシアではまだまだそのような仕組みが整ってはいません。私たちにとっての当たり前を届けるためには、今回の会社の立ち上げは一つのプロセスでしかありません。「トラックリース事業を物流インフラの基盤に」と位置づけ、国に根付いて永続的に続いていくものにするべく取り組んでいます。今後はインドネシアに、生まれてくる子どもも連れて行き、腰を据えてプロジェクトに取り組む予定なので、事業と我が子、という2人の子どもを同時に育てるような気持ちで取り組んでいきたいです。

今後の事業の展望は?佐藤 可歩

今後の事業の展望は?

今回のインドネシアでのプロジェクトは、需要も収益性も高いというビジネス観点での有益性だけでなく、インドネシアという国の発展自体に寄与できる影響力を秘めていると信じています。私の子どもはインドネシアがホームタウンになると思うのですが、物心がついた時に、今でもすてきなインドネシアが、私が担当したプロジェクトを通して、さらに豊かな暮らしになっているとうれしいなと思っています。

(2023年1月現在)

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