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[豊かな暮らしをつくる]

非電化地域でのミニグリッド事業を通じて、人々の暮らし・経済の発展に貢献

経済成長を続けるアジア・アフリカを中心に世界のエネルギー需要が増加する中、特に電力業界ではDecarbonization(脱炭素化)、Decentralization(分散化)、Digitalization(デジタル化)がメガトレンドとなっており、環境負荷の低い再生可能エネルギー(再エネ)へのシフトが急激に進んでいます。三井物産は、これら「3つのD」への対応として、集中電源としての太陽光発電や、風力発電に加え、より最終消費者に近いところでサービスを提供する分散型電源についても世界に広がる形で展開を進めています。

世界には電力へアクセスできない人々がアジアやアフリカを中心に約10億人*存在し、インドにおいても大きな社会課題になっています。一方で、インドやアフリカの農村等の非電化地域でも携帯電話の普及率は非常に高く、データ通信用に電気が使われるようになっています。そこで「地産地消型」分散型電源事業を通じて、携帯基地局を基盤顧客とし、さらに周辺の事業者や住民にも、主に太陽光発電や蓄電池を組み合わせた電力を安定供給するべく、当社はOMC Power Private Limited(以下、OMC)に、2017年に出資・参画しました。OMCを通じて、今まで使われてきた化石燃料を代替し、より安定した環境への影響も少ない電力を低価格で提供し、インド政府の目指す「全国民への24時間電力供給」と、電力を活用した人々の生活・経済の向上への貢献を目指します。また、インドからアジア全体、アフリカ・サブサハラまで、当社はOMCと共に、少しでも多くの非電化地域に電力を届ける取り組みを進めていきます。

*:International Energy Agency「World Energy Outlook 2018」より。

独自のビジネスモデルで顧客基盤を拡大

夜間営業が可能になった商店 夜間営業が可能になった商店

現在、OMCが保有する発電拠点は197か所あり、同拠点から211の携帯電話基地局、約5,000の地域施設と事業者、約15,000世帯・10万の地域住民を支えています。私はOMCの一員として、2017年に100か所だった発電所を1,000か所に増やし、非電化地域に住む100万人以上に電力を届けることを目標に、事業規模の拡大と収益性の向上に取り組んでいます。

開発途上国では、携帯電話の普及が進み、無線通信網が電力網以上に整備されているところも多くあります。インドも例外ではなく、OMCはこれを活用した独自のビジネスモデルとして、携帯電話基地局への電力供給から事業を開始、その上で基地局周辺に送・配電線ネットワークを構築し、半径2 ~ 3km圏内にある地域施設や事業者、家庭へと顧客を広げることにしました。このビジネスモデルには、OMCがミニグリッド事業のリーディングカンパニーとして長年蓄積してきたノウハウ、携帯電話会社との強いつながりや、各州政府と分散型電源の法制度をつくってきたことが活かされています。OMCは、分散型電源をつないで電力のプラットフォームをつくり、需要に合わせて制御することで、安定的・効率的な電力の供給を実現するだけでなく、将来的には、電力を基に、地域の生活水準を上げる新たなビジネスを提供することを目指しています。現在、電力を使って水を浄化するサービスを提供していますが、さらに地域住民の豊かな暮らしにつながる、冷蔵施設やEVの充電サービス施設等、多様なサービスへの派生を検討しています。

ビジネスプロセスを見直し、高品質・低コストを追求

インドの非電化地域では、ディーゼル燃料や灯油、薪等を夜間の明かりや炊事に利用するのが一般的ですが、環境負荷が大きく、1kWh当たりの単価に置き換えるとかなり高額です。そこでOMCは、太陽光由来のクリーンエネルギーを月2、3ドルで地域住民に提供することを目指しました。どんなに環境に良く便利でも、手の届く価格でなければ継続的には使ってもらえないからです。

太陽光発電は一度設置すれば、太陽の出ている限り燃料なしで毎日稼働するのでコストパフォーマンスに優れていますし、近年では発電コストが下がり、かなり安価な電源になっています。これらも低価格を実現できている要因ですが、さらに大きいのは、OMCの長年の経験に基づく、徹底した高効率化です。コストを抑えつつ電力を安定供給するために、昼間は太陽光パネルを使って電力を供給するとともに、夜に備えて蓄電池にも電力を貯め、夜間は蓄電池から供給し、その電力がなくなった場合は、緊急時に限りディーゼル発電装置を使って、その電力も蓄電池に貯める等、太陽光発電パネル、蓄電池、ディーゼル発電装置を別々に効率よく動かすことで、24時間の電力供給を可能にしています。発電所を効率的かつ安定的に稼働させるのはとても難しいのですが、OMCが蓄積したノウハウがそれを可能にしています。このほか、発電所へのIT導入はもちろん、発電所内での電力ロスを削減するためのパワーコントロールユニットや、複数の発電所をより効率よく管理するためのリモートモニタリングシステムの独自開発を通じて、より安価に電力を提供できるよう、たゆまぬ見直しと改善を続けています。

電力を届けることは、人々の暮らしを豊かにすること

今、非電化地域に暮らす人は約10億人といわれています。私も電力が整っていなかった南インドに生まれ育ちましたので、それがどれだけ大変なことかはよく分かります。電力がない環境は生活の不便さだけでなく、衛生面や教育等の低水準も引き起こします。実際、OMCの第1号発電所ができたとき、周囲には何もありませんでしたが、今では小学校や高校が建ち、小さな病院や商店も増えてきています。生活環境が改善し、経済も活性化していくのを目の当たりにすると、電力を届けることの社会的意義の大きさを改めて感じます。

インドをはじめ、アフリカやアジア等、求められるすべてのところに、持続可能な電源をできるだけ早く、安定的に、安価に届けられるよう、今後も各国・地域に向けた潜在顧客へのアプローチと、OMCの組織力強化を進めていきます。

2020年8月掲載