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Our Stories

[環境と調和する社会をつくる]

低炭素社会の構築を目指し、新技術で未来を拓く

2016年、パリ協定が発効し、先進国も途上国も協調して気候変動問題に取り組むことが宣言されました。しかし、各国・地域の削減努力にもかかわらず、2017年には世界のCO2総排出量は4年ぶりに増加に転じています。国連環境計画(UNEP)の報告によると、その要因は経済成長にあるとされており、現在、経済成長を妨げない形でCO2削減を成し遂げることが課題となっています。

三井物産は、パリ協定発効前の2014年3月、ニュージーランドで設立され、米国に本社を持つスタートアップ、LanzaTech(以下、LT)に出資しました。LTは、CO2やCOを含む産業排ガスをエタノールやイソプロパノールといった燃料・化学品に転換する、世界で唯一のガス発酵技術を開発しています。製鉄所や製油所からの排ガスを大規模に有効活用できることから、食と競合しない製品をつくり出せる点が大きな特長です。当社はLTの戦略的パートナーとして、当社の総合力とLTの技術を組み合わせることで気候変動の緩和に資する新たなビジネスを創造し、低炭素社会の構築に貢献したいと考えています。

産業的課題の解決と多様な環境付加価値を実現

2018年5月、中国河北省で、製鉄所の排ガスからLTの技術を用いてエタノールを製造する第1号商業プラントが稼働しました。エタノール生産量は年間45,000トン、河北省の生産者では最大規模で、フル生産での安定稼働も間近となっています。

中国では2017年に、10%の燃料用エタノールを自動車用ガソリンに混合するという「E10政策」を2020年までに全国に普及するという目標が打ち出され、エタノールの需要が急速に高まっています。現時点でのエタノール生産量では全く供給が足りていない上に、それらエタノールの99%は食物由来です。当社は今後、本プラントと同様のプラントを中国全土に順次複数建設することで、食と競合しない、より環境付加価値の高いLTのエタノール普及に努めたいと考えています。

一方、中国は大気汚染の問題も深刻です。製鉄業は、発電業に次いでPM2.5の排出が多いといわれていますが、中国には世界の粗鋼生産量の約半分を占める製鉄所が存在しています。本プラントではCO2、PM2.5の排出を大幅に削減できることから、地球温暖化および大気汚染問題の解決にも貢献できます。LTの技術を用いた事業を普及させることで、中国の大気汚染の改善にもつながるのではと期待しています。

世界で唯一の技術を信じ、粘り強く支援

産業的課題の解決と多様な環境付加価値を実現ANAとの連携で取り組みを加速 ©ANA

2014年の当社出資後、市場環境の変化を受けてLTの企業価値が減少し、社内外から厳しい目に晒される時期もありましたが、「LTの技術は世界を変えられる」という強い信念を持って支援を続けました。その結果、今では多くの企業がLTの技術に興味を持ってその技術導入を検討しており、世界が変わっていく瞬間を身をもって体験しました。

現在は、当社事業パートナーとの事業開発、物流機能の提供、共同研究開発パートナーの紹介の3つの面でLTを支援しています。特に注力しているのは新規事業開発で、LTの技術で次世代燃料をつくり、その事業から収益を上げていくことは、私たちのミッションでもあります。世界中の当社パートナーにLTの技術や強み、導入メリットを説明し、新規事業のタネを探しています。

今後のグローバル展開としては、中国での案件拡大はもとより、エタノール需要の高い国・地域等への進出を検討しています。当社食料本部はエタノールの日本最大の輸入者であり、ドイツ三井物産有限会社の化学品担当部署も燃料用エタノールのドイツ最大の輸入者となっていることから、これらシナジー発揮を通じて、より当社らしいより魅力的な事業を組み立てていくことができると考えています。

また、エタノールを原料としたバイオジェット燃料も形になりつつあります。2018年10月にはVirgin Atlantic航空による初の商業フライトを成功させ、2019年6月に全日本空輸株式会社(以下、ANA)と同燃料の引き取りに基本合意し、また将来の本邦での商業生産を視野に入れた共同事業開発の覚書をANA、LT、当社間で締結しています。2021年からは、国際民間航空機関(ICAO)によるCO2排出規制が開始されることもあり、活用の場はさらに広がるとみています。

4つのCを基軸に、新エネルギーの実用化を目指す

私の所属するe&i部は低炭素社会の構築をビジョンに掲げ、次世代燃料、エネルギーマネジメント、排出権取引等の分野で、新たなエネルギービジネスの柱を打ち立てることをミッションとしています。Cleaner Energy(よりクリーンなエネルギー)、No Competition with Food(食と競合しない)、Circular Economy(循環型社会の構築)、Carbon Emission Reduction(温室効果ガス排出削減)の4つのCを評価軸に取り入れ、定性的かつ定量的に評価される案件の創出を目指して日々取り組んでいます。

社会、当社それぞれが持続可能でなければ、本当の意味での発展はありえません。それを成し遂げるためにも、当社機能を最大限に活用して新たなビジネスモデルや技術を世に送り出し、それをスタンダードにすることで、家族、今目の前にいる皆さん、そしてまだ見ぬ誰もが安心して過ごせる世の中をつくっていきたいと思っています。