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Environment

生物多様性

方針・基本的な考え方


三井物産は、環境方針に「生物多様性影響を評価し、最大限の環境への配慮を行う」と定めています。資源開発・採掘の現場が生物多様性に影響を与える可能性を認識し、生物多様性の保全に向けた行動を推進していきます。当社の事業活動は、多種多様な生物がさまざまな関係でつながることにより生まれる、生物多様性の恵みに大きく依存しています。事業活動における生物多様性の保全と、社会貢献活動など事業以外の活動による生物多様性の保全の双方を通じて、環境への負の影響を最大限低減することを目指します。具体的には、前者は森林・水産等のコモディティの持続可能な利用や、事業拠点周辺地域への負の影響の防止、後者は社有林「三井物産の森」や三井物産環境基金をはじめとする社会貢献活動にて、生物多様性の保全に取り組みます。


環境方針

三井物産の森:森林管理方針

鉱山事業の閉山に関する方針

当社は閉山に当たって、法令および計画に基づく適切な対応を実施し、周辺地域の環境・社会への影響を最小限に留め、地域社会の発展に取り組む方針です。
当社が取り組んでいる鉱山事業では、事業検討段階ならびに操業期間中における環境影響評価等を通じた将来的な閉山計画・リハビリテーションを含む事業計画を策定しています。当局や関連する専門家のレビューも受け、法令遵守に加え、地域の環境・社会的な負荷を最小限に抑えるよう努めています。

目標


生物多様性の構成要素の持続可能な利用

  • 天然ゴム、パーム油、木材、紙製品の調達において森林破壊ゼロを目指す。
  • 2030年までにRSPO認証を含む持続可能なパーム油の調達を100%に引き上げる。

生物多様性の保全

  • 社有林「三井物産の森」において設定した生物多様性保護林(特別保護林等)につき、生態系モニタリングの定期実施等を通じ、生物多様性保護を意識した維持・管理を行う。
  • 三井物産環境基金を通じて、生態系サービスの保全と利用、ならびに生態系と人間が共存するための調整につながる活動や研究を支持し、森林再生及び絶滅危惧種の保護に貢献する。

体制・システム


サステナビリティ経営推進

サステナビリティ委員会は、経営会議の下部組織として、生物多様性に関わる経営の基本方針、事業活動やコーポレートの方針・戦略に関し、企画・立案・提言を行っています。
サステナビリティ委員会の活動については、取締役会による監督が適切に図られる体制となっており、サステナビリティ委員会における審議事項は、定期的に経営会議および取締役会に付議・報告されます。

管掌役員 大間知 慎一郎(代表取締役副社長執行役員、CSO(チーフ・ストラテジー・オフィサー)、サステナビリティ委員会 委員長)
審議機関 サステナビリティ委員会
位置付け
  • 意思決定機関である経営会議の下部委員会
  • 委員会で審議された生物多様性に関わる重要事項は、経営会議、取締役会等に付議・報告されます
事務局 サステナビリティ経営推進部

当社サステナビリティ経営の推進体制図やサステナビリティ委員会の活動に関する詳細はリンク先をご参照ください。


サステナビリティへの考え方・推進体制:体制・システム

サステナビリティへの考え方・推進体制:サステナビリティ委員会

三井物産の森における生物多様性の保全・モニタリング体制

三井物産の森では、生物多様性の観点から重要性が高いエリア(全体の約10%)を生物多様性保護林に設定しており、それぞれの区分にあった管理を行い、生物多様性保全に努めています。希少種の生息状況や山林の規模に応じて、山林事務所ごとに 3 箇所を基本としてプロットを設定し生態系モニタリング調査を実施しています。調査は年一回(蓄積調査については 5 年に一回)実施され、地表状況調査(希少種、動植物)・林内状況調査(樹種、本数、獣害等)・蓄積調査(胸高直径、樹高、成長量)などを調査しています。 尚、特別保護林(保護価値の高い森林)である福島県の田代山林では、2019 年 7 月の山開き安全祈願祭時に巡視を行いました。山頂の高層湿原にシカが増えつつあるという情報を得て、生態系への影響について今後の動向を注視していきます。希少種が発見された場合は、特に植物の場合はマーキングを行い、施業範囲から外すなどの対策をとっています。 また、林内作業は周辺の広範囲に環境的影響を与える可能性があるため、三井物産の森では、主伐、間伐、路網開設などの林内作業を実施する際には、事前に必ず現地を踏査して土壌状況、地表植生等、林内状況、周辺状況などの22 のチェック項目に基づいた調査を行うこととしています。調査結果に応じて、林内作業計画の実施内容につき見直しを行い、必要があれば計画変更や中止の判断を行っています。林内作業実施後3 か月以内には、必ず現地を再踏査して林内作業が適切に実施されたことを確認し、環境への影響を最小限にし、生物多様性の保全に努めています。

ESG関連リスク管理

当社が事業に取り組むに当たっては、新規に開始する段階に加え、操業時、および撤退時においても環境・社会に対する最大限の配慮に努める仕組みを整えています。生物多様性リスクが高いと考えられる投資案件(水力・鉱山・船舶等)において、生物多様性に重点を置いたESGリスク評価を実施し、必要な場合は改善計画を実施しています。


環境マネジメント:環境マネジメントシステム

ESG関連リスクマネジメント

三井物産環境基金審査体制

当社は地球環境問題の解決に貢献するさまざまな「活動」や「研究」を支援し、経済と環境が調和する持続可能な社会の実現を目指します。当社は2005年より三井物産環境基金を通じて地球環境問題の解決と持続可能な社会の構築に貢献するさまざまな案件を支援しています。環境基金の詳細はリンク先をご参照ください。


三井物産環境基金:三井物産環境基金の概要

ステークホルダーとの協働


イニシアティブへの参画

イニシアティブへの参画を通じた生物多様性への取り組みを推進、拡大させています。各イニシアティブへの参画においては当社の生物多様性に対する基本方針、取り組みと合致しているか確認の上、参画を決定しています。

RSPO(Roundtable on Sustainable Palm Oil RSPO、持続可能なパーム油のための円卓会議)

RSPOは、熱帯林や生物多様性の保全等「持続可能なパーム油」の生産と利用促進を目的とした非営利組織です。パーム油の生産にあたっては、アプラヤシ農園開発による熱帯林破壊や、人権労働問題が指摘されています。当社は、パーム油を取り扱う事業者として、「産業を通じた持続可能性を実現させる」という理念に共感し、2008年にRSPOに参画して以来、正会員として事業を通じ、熱帯林や生物多様性の保全、先住民や地域住民の権利の尊重等に配慮した持続可能な調達に取り組んでいます。2021年の東京オリンピック・パラリンピックでは、持続可能性に配慮した調達コードが策定され、調達コードの一部としてパーム油の個別基準も策定されたことから、油脂関連業界団体のメンバーとして、当社もRSPOおよびMSPO(Malaysia Sustainable Palm Oil)・ISPO(Indonesia Sustainable Palm Oil)の取り組み状況について逐次確認し、普及・推進を行いました。

FSC®(Forest Stewardship Council®、森林管理協議会)

環境NGO、民間企業や先住民団体等による会員制の非営利組織FSC®(Forest Stewardship Council®、森林管理協議会)は、環境保全の点からみて適切で、人権尊重等、社会的な利益にかない、経済的にも継続可能な森林管理を世界に広めるための国際的な非営利組織です。
当社は、全国74か所、約44,000ヘクタールすべての社有林「三井物産の森」で、森林管理を対象とするFM認証(Forest Management )を取得し、切り出した木材の加工・流通を対象とするCoC認証(Chain of Custody)を子会社である三井物産フォレスト株式会社が取得しています(FSC®-C031328)。日本国内最大の国産のFSC®認証材の供給者である当社は、国内におけるFSC®の普及・推進、日本版の原則基準の検討・作成にも協力しています。なお、当社では、植林事業においてもFSC®認証を取得し、責任ある森林資源管理を推進しています。

日本経済団体連合会 自然保護協議会

生物多様性保全推進や自然保護支援を行う経団連自然保護協議会には、2012年から継続して当社社員1名が出向し、NGOの自然保護活動支援、企業とNGOの交流の推進、企業への自然保護と生物多様性の啓発活動等を担っています。当社は、経団連生物多様性宣言及び行動指針を支持しています。


経団連生物多様性宣言・行動指針

生物多様性民間参画パートナーシップ

生物多様性民間参画パートナーシップは日本経済団体連合会、日本商工会議所および経済同友会が共同して、生物多様性への民間事業者の取り組みを促進することを目的として設立されました。当社は生物多様性民間参画パートナーシップに参加し、NPO・NGOや研究機関等の国内外の関係組織との連携の下、事業者の生物多様性保全への取り組みを推進するだけでなく、ライフサイクルにも着目した資源循環型経営の促進等を通じて、サプライチェーンでの生物多様性保全にも貢献しています。

CDP(Forests)

企業の木材に関する世界的な情報公開プログラムCDP Forestの木材への質問書に2016年から回答しています。2020年に実施されたCDPの質問書に対する回答の結果、Forests (timber)において上位の「マネジメントレベル(B)」と認定されました。

NGOとの協働

カンボジアプレイロング森林での森林保全活動(REDD+

プレイロングの熱帯低地常緑樹林 プレイロングの熱帯低地常緑樹林
©JEREMY HOLDEN

カンボジア北東部、メコン川西岸に位置するプレイロング地域は、絶滅危惧種を含む多くの野生動物が生息するインドシナ半島最大級の熱帯低地常緑樹林で、同国の貴重な水源にもなっています。しかし、違法伐採や地域住民による農地開拓により森林減少が進み、野生動物の生息域が脅かされると同時に、森林に蓄積されるべき温室効果ガスの排出が増えています。 当社は、国際NGOであるコンサベーション・インターナショナルとのパートナーシップにより、カンボジア環境省と協働してパリ協定で定めるREDD+の仕組みを活用し、プレイロング地域における違法伐採取り締まりのための森林パトロールを強化しています。また、地域住民との対話を通じ、森林伐採に依拠しない代替生計手段としての有機農法や稲作の指導・普及等のコミュニティー活動支援を行い、森林および生物多様性の保全に貢献しています。

*: Reducing Emissions from Deforestation and forest Degradation, and the role of conservation, sustainable management of forests and enhancement of forest carbon stocks in developing countriesの略で、開発途上国における森林の減少や劣化を防止することによる排出削減や、森林保全や持続可能な森林経営による森林での炭素固定量増加等に対して、排出権等の経済的インセンティブを与える仕組み。

地方自治体との協働

インドネシアの絶滅危惧種であるスマトラトラの個体数回復プロジェクト

インドネシア・スマトラ島のユネスコの世界自然遺産にも指定されているブキ・バリサン・セラタン国立公園(BSS国立公園)はスマトラサイ、スマトラゾウ、スマトラトラなど、絶滅の危機にある大型哺乳類の貴重な生息地です。しかし、住民とスマトラトラとの遭遇や衝突事例が多数報告され、住民の生活の安全性からスマトラトラが殺されることもあり、スマトラトラの個体数の減少の要因の一つとなっていました。三井物産環境基金の案件の一つとして、世界自然保護基金(WWFジャパン)の活動を助成を通じて地方自治体、国立公園当局、周辺5村の地域住民と協力してスマトラトラと地域住民との衝突被害(トラの被害、人的被害、農園や家畜の被害の総数)を減少させるため、生息域調査やカメラトラップ調査を実施しました。調査の結果、スマトラトラの生息地に関する情報を入手、当該情報に基づき土地利用計画地図を策定し、地域住民とスマトラトラが共存するコミュニティーづくりを支持し、スマトラトラの個体数回復に貢献しています。現在も郡政府と地域住民が協力して、土地利用計画地図を利用したモニタリング活動は継続しています。

取り組み


事業における取り組み

目的 取り組み内容
陸上養殖 サーモンの世界消費量は年々増加しており、世界市場規模は海面養殖魚類のトップ3に入る一方で、餌の食べ残しや排せつ物による水質悪化とそれに伴う疾病等発生リスクの増加、疾病・寄生虫対策に使用する薬剤の環境への影響大きく生物多様性の損失が問題となっていた。こうした状況を受け、当社は高度な生物濾過技術を持つ株式会社FRDジャパンとパートナーシップを組み、水道水から作った人工海水を100%循環しながら魚を飼育できる世界初の陸上養殖システムで、海洋への環境負荷を最小限に抑えながら、持続可能な水産業を実現する、サーモンの陸上養殖事業に取り組む。
水力発電 ブラジル北部マデイラ川に位置するJirau水力発電事業では、豊かな生物多様性を誇るアマゾン川流域のため、地域社会やNGO等の関心も高く、環境に最大限配慮し事業を運営。推進している環境プログラムでは、周辺環境や住民へのあらゆる影響を事前に調査の上、周辺住環境を改善すべく、病院、学校、新しい住居を整備するとともに、魚類・哺乳類を含む動植物の保護等を実施。
森林資源 紙の原料となるウッドチップの安定供給を目的に、事業パートナーと共に、オーストラリア・チリで展開している植林事業(合計事業面積は、2021年3月末現在で約9,000ha)では、FSC® 等の国際森林認証を取得し責任ある森林資源管理を行うとともに、生物多様性に配慮した取り組みを展開。
米の生産・販売 当社子会社の東邦物産では、農薬や化学肥料をできる限り使わない等、生物多様性を育む農法による米の生産・販売を支援。
船舶 バラスト水中に含まれる海洋生物が生態系へ悪影響を与えることを避けるため、船舶へのバラスト水処理装置の設置等を推進。
天日塩製造・販売 当社子会社のShark Bay Salt Pty.は、世界遺産に登録されている西オーストラリア州のシャーク湾に塩田を所有して天日塩を製造・販売しており、地域の生態系改善を積極的に推進。「自然との共生」を念頭に、塩田内の陸地環境やマングローブ生態系、周辺海水を継続的にモニタリングし、同社の事業が絶滅危惧種のジュゴン等地域の生態系に影響を与えることがないよう配慮して操業(結果として同地域では生物の個体数は安定)、またシャーク湾におけるイルカの生態研究活動を支援。

チリのサーモン事業における生物多様性への配慮

当社出資先であるチリのサーモン養殖・加工・販売会社Salmones Multiexport S.A.では生物多様性への配慮として、海上養殖ネット破損か所から逃げ野生化し、周辺の海洋生態系に影響を及ぼすのを防ぐため、定期的にゲージの状態を確認し、ここ数年ゲージからの逸失はゼロとなっています。また、アシカ科海生動物等による設備の破損、原魚の食害、脱走・野生化を防ぐため、ネットの二重化等の対策を施しています。その他にも、遠隔操作式自動給餌システムを導入することで、海面下から最適な給餌量のモニタリングを行い、海底への餌の堆積を最小化する取り組みを行い生態系に十分配慮した養殖活動を行っています。

JICA/研究者との協働案件― 赤潮早期予測システムへの取り組み

チリ南部の都市プエルトモントでのサンプリング風景(2019年1月) チリ南部の都市プエルトモントでのサンプリング風景(2019年1月)

赤潮は海水中で植物性プランクトンが異常増殖することで起こりますが、、生物の生息・生育環境に重大な悪影響を及ぼします。2016年にチリで記録的な赤潮が発生し、主要産業であるサーモンの養殖事業や沿岸漁業に甚大な被害が発生したことを受け、日本およびチリの大学・研究機関が協力し、現地政府機関等とも連携して、赤潮の発生を早期に予測するシステムを構築・運用するための研究プロジェクトが立ち上がりました。
チリにおいてサーモン養殖事業に出資している当社にも、チリ政府から協力要請を受けた独立行政法人国際協力機構(JICA)を通じ協働の依頼がありました。当社は本プロジェクトの成果を社会に定着、拡大させる役割を担うことになり、同プロジェクトへ技術協力という形で参画していたJICAとの間で2018年4月に契約を締結、連携を開始しました。以来、当社は海水の赤潮モニタリングシステムの開発に向け、日本・チリ双方の産学官連携を支援しています。
本システムの予測結果に基づく警戒情報や予防措置情報を漁業従事者に向け発信することで、赤潮による被害を抑制し、生物多様性の保全・回復に努めています。

社有林「三井物産の森」経営・管理における取り組み

三井物産の森とその管理会社の三井物産フォレストは国際的な森林認証を取得しています。
森林認証は第三者が適切に管理されている森林を認証するFM認証(Forest Management)と、認証山林で生産された木材が製品として完成するまで適切に流通されているかを認証するCoC認証(Chain of Custody)で構成されています。
三井物産の森を管理する三井物産フォレストは、国際的な基準に基づいた管理計画を策定、実行し、持続可能な森林管理に携わっています。また、その山林から生産する丸太などは、CoC認証を取得している三井物産フォレストが取り扱うことで、森林認証のチェーンをつないでいます。
三井物産フォレストが実践している特徴的な管理方法は、山林の地形や樹種など様々な特徴を捉えて管理方法を分ける「ゾーニング」です。「ゾーニング」には「人工林」、「天然生林」、「生物多様性保護林」などがあり、それぞれの管理方針に基づき適切な森林管理を行っています。特に「生物多様性保護林」では保護価値の高い森林を選定、「特別保護林」、「水土保護林」、「環境的保護林」、「文化的保護林」の4種類に分類し生物多様性に配慮した管理、施業を行っています。


三井物産の森:生物多様性への取り組み