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人が住み、人が働いて初めて“街”になる

 全体で900ヘクタールと、東京都中央区とほぼ同じ広さのメディニ地区は、ヌサジャ地区の中心市街であり、A~Fの6つのゾーンに分けて開発が進められている。

メディニ地区で進むプロジェクト

Zone A
  • ・ レゴランド、モール・オブ・メディニ、グレンイーグルス病院等が立地
  • ・ マンション開発も進捗しておりメディニ地区内で最も開発が進捗しているエリア
 
Zone B
  • ・ オフィスが立ち並ぶ予定のメディニ地区内の中心エリア
  • ・ 現状、2階建ての低層オフィスとマンションを開発中
 
Zone C
  • ・ 物流と複合開発エリア、現状更地
 
Zone D
  • ・ オフィス、住宅、商業等の複合開発エリア、現状更地
 
Zone E
  • ・ マレーシア政府投資会社のカザナとシンガポール政府投資会社のテマセクのJVとマレーシアデベロッパーによるウェルネスシティの開発を計画中
 
Zone F
  • ・ マレーシア政府投資会社のカザナとマレーシアデベロッパーのサンウェイによるJVで戸建等を開発予定
 

 このZone AとZone Bの中で、一部、他のデベロッパーが所有している土地を除くMIM社保有の土地における開発が、三井物産の不動産部隊であるコンシューマーサービス事業本部 都市開発事業部の担当となっている。

「すでにある街に、『こういう課題があるから解決していかなければならない』というスマートシティの案件は数多くありますが、ここまで更地のゼロからのスマートシティの立ち上げの例は、あまりないと思います。ほかの総合商社でも、この規模の案件はありません」とコンシューマーサービス事業本部 都市開発事業部 海外開発事業第二室 マネージャーの石澤誠文氏は誇らしげに語った。

三井物産 コンシューマーサービス事業本部 都市開発事業部 海外開発事業第二室 マネージャー 石澤誠文

三井物産
コンシューマーサービス事業本部
都市開発事業部
海外開発事業第二室 マネージャー
石澤誠文氏

 MIM社が保有する土地に対して、三井物産には、20%の株主としてMIM社の開発を支援する、他のデベロッパーと共同で事業を行う、三井物産がさらに増資してより直接的に開発に携わるなどのオプションが想定されている。
 これらの開発において、最も困難な課題の1つが「街づくりの手法とスピードを決めること」だと石澤氏は言う。
「現在、メディニ地区には、外から来ている建築関連の労働者人口しかありません。つまり、定住人口はまだゼロです。街の人口をつくるためには、労働需要をつくらなければならない。しかし、オフィスだけ先行してどんどんつくっても、埋まらなければゴーストタウンになってしまう。この案件を通じスマートシティを実現したいので、ゴーストタウンは絶対につくりたくないのです」

 それならば、住宅を早急に増やせばよいのではないだろうか。

「現在、他のデベロッパーによって周辺に建てられた高層マンションが1日や2日で完売するなど、マーケットは非常に好調です。一方、住宅ばかり建てれば、住宅価格の急激な上昇を助長することにもなりかねないし、街としてのバランスも悪くなります。ですから、私たちは、住宅づくりのスピードをセーブしながら、オフィスや商業施設、市民が憩う公園などを並行してつくるなど“街づくりのスピード感”の策定に取り組んでいるところです」(石澤氏)

「スマートシティ」の街づくりにおける不動産ビジネスでは、単純に利益を上げればよいというわけではなく、将来、そこに定住する人たちの暮らしの質を高めるためのプランや制御が必要になるのだ。

街の成長に応じて多様なサービスを導入

 一方、スマートシティのサービスをメディニ地区全体に普及させることも、コンシューマーサービス事業本部の役割だという。
「現時点でキーワードとなり得るのは、セキュリティ、交通(EV、カーシェアリング等)、教育、医療、ICカードの導入などです」(石澤氏)
 三井物産は、社内外のネットワークをフルに活用し、株主という立場から、メディニの街に最適な技術・ソリューションを提案する。ビル・住宅のエネルギー管理システム、ICTネットーワークと連動した防犯カメラによる統合セキュリティシステム等の先進技術がその一例だ。また、行政サービスや買い物等、日々の生活をより便利にするため、タブレットやICカードを活用したメディニ地区独自の電子サービスを導入することも検討している。

「医療の面でも、スマートサービス導入が考えられます」(石澤氏)
 現在、メディニ地区内の約6ヘクタールの敷地で、研究施設を備えた病院の開発も2段階で進められている。合計約300床が予定される大規模な病院「グレンイーグルス病院」は、2015年2月頃の竣工予定だ。
「行政との擦り合わせも必要ですが、この病院を中心として、医療連携で街の住民の電子カルテ化も考えられます」(石澤氏)

イスカンダール地区開発案件・グレンイーグルス病院

 ほかにも、イスカンダール地区全体で見れば、メディニ地区に隣接したエリアに「エデュシティ」と呼ばれる学園都市が開発される。そこには、英国のウィリアム王子と結婚したキャサリン妃の卒業校でもある名門「マルボロカレッジ」が英国外に初めてつくった分校「マルボロカレッジマレーシア校」をはじめ、多くの大学や研究室が集まる。また、007シリーズやハリー・ポッターを撮影している英国の映画撮影スタジオ「パインウッドスタジオ」もオープンする。
 これらの魅力的なエリアと連携し、その特性を活用したスマートシティとしてのサービスのシステム構築も視野に入れ、現在、メディニ地区の街のプランづくりが進められている。

©日経BP社 「日経ビジネスオンライン スペシャル」 初出:2013年11月19日~2014年2月24日
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