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三井物産 教えて! 木に関わる仕事

特別編! 日本の森林を守り、未来につなげる「木づかい運動」

みんなは「木づかい運動」って、知ってるかな?
実は「三井物産の森」も、この木づかいの精神せいしんで守り、はぐくまれている森の一つなんだ。
かけがえのない資産しさんである森を、未来に引きついでいくこの取り組みについて、
東京大学名誉教授めいよきょうじゅ安藤直人あんどうなおと先生に聞いてみたよ。

「木づかい」って、どんな活動?

「木をる」というと、自然を破壊はかいしているようで、あまりよいイメージじゃないかもしれませんね。ですが、森林を守るには、たくさん植えられた苗木なえぎの中から成長のよい木を残し、樹木じゅもくが育ちやすい環境かんきょうをつくることが欠かせません。このように余分よぶんな木をって、森林の手入れをすることを「間伐かんばつ」といいます。そして、伐採ばっさい時期をむかえた「木材」をムダなく使うなど、木を上手に活かすことを「木づかい」とんでいます。木造建築もくぞうけんちく建材けんざい、家具などに利用りようして、山には新たに木を植えて育てる「木づかい」が何よりも大切なのです。

どうしてこの活動を始めたの?

大学から大学院を通じて、木質もくしつ研究という木材の特性とくせい材料ざいりょうについての研究をしていました。大手ハウスメーカー(住宅じゅうたくつくる会社)に就職しゅうしょくした後、再び大学院の研究室にもどったのですが、実際じっさいに木材を商品にする立場と研究する立場の両方を経験けいけんしたことで、「貴重きちょうな森林資源を活かして守るにはどうしたらいいのか」をそれまで以上いじょうに深く考えるようになりました。以来いらい、この活動を一生の仕事、ライフワークとしてつづけています。

日本中で「木づかい運動」を広める 東京大学名誉教授 安藤直人先生

子どもの時から森が好きだったの?

中学2年生の時、ワンダーフォーゲル部に入りました。「ワンダーフォーゲル(Wandervogel)」は、ドイツ語で「わたり鳥」という意味。仲間とともに山登りをしたり、海に行ったり、まるでわたり鳥のように自然の中をめぐるクラブ活動です。もともとおとなしい子どもだったわたしが、このクラブに入ることで変わりました。自然と人、そして、仲間なかま。ワンダーフォーゲル部での活動が、自分と森林の距離きょりを近いものにしてくれたと言っていいでしょう。

大変だったこと、うれしかったことは?

活動を始めてしばらくは、「木づかい」と言ってもなかなか興味きょうみを持ってもらえませんでした。日本の森林が、木を「育てる」から「使う」時代に入っていることがあまり知られていなかったこともあったでしょう。しかし、近年では、国のえらい人たちはもちろん、産業さんぎょう界、教育界など、あらゆる分野の人が「木づかい」の大切さに気づいてくれるようになりました。
今は、小学生や中学生など、さまざまな世代を対象たいしょうとした「木づかいセミナー」なども実施じっししています。昨年(2015年)にも高校生向けのセミナーを福島県で開催しましたが、今まで知らなかった森林の話や実際に木とふれ合う体験たいけんを通じて、感性かんせいが柔らかくみがかれ、活き活きとした表情ひょうじょうに変わっていくようすを見ていると本当にうれしくなります。参加してくれた高校生の中には、地元の森林組合へ就職した人や、もっと深く木材について学びたいと大学へ進学したきっかけになった子どももいました。

わたしたちにできることって、何だろう?

森林の樹木は苗木なえぎを植えてからやく10年後から間伐を繰り返し、スギならば約50年で成長した木を伐採する主伐しゅばつを行います。家のはりとして使えるような太い木材にするには、もっと長く育てなくてはいけないでしょう。ヒノキの場合は、人の平均寿命へいきんじゅみょうとだいたい同じです。こうした壮大そうだいな時間の流れの中で、森はいとなみを続けているわけです。つまり、「木づかい」は今のくらしをゆたかにすることはもちろん、50年後、100年後の環境かんきょうや生活を考え、守っていくものでもあるのです。みなさんには、まず50年後の森のようすをイメージしながら、自分のできるはんいで木を植えてほしいと思います。
みなさんも知っている通り、人へんに木と書いて「休む」という字になります。人と木は、もともとなかがよいのです。だから、森や木の大切さを知ったうえで、もっともっと自然と身近にふれ合ってください。

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わたしの1日
ニッポンは、世界有数※の森林国家です。 ※わたしたちの国は、国土の約7割(約2,500万ha)が森林。先進国の中では、フィンランドについで2番目に森林率が高い国です。

もっと知りたい!! >> 日本と世界の木材事情

わたしが話している「木づかい」とは、原生林や貴重な天然林など保護すべき森林の木を伐って使うことではなく、日本の森林全体の約4割を占める人工林を使うために木を育てている森林(=人工林、育成林)の木を使うこと。 もっと木を使うために新しい木の製品や使いみちを考えたり、木を使いやすくする制度やしくみを考えたりすることも、大切です。これからは「木づかい」からさらに木を使う人へつなげる「木くばり」にも活動を広げて行きたいですね。

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