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浅野忠信氏執筆 「自分がいる」

朝日新聞

2014年9月18日


僕は、自分自身の中にあるものでしか何かを表現することはできないと思う。一人の観客として自分の演じる役を見たときに「こんなやつはいない」と思うのは嫌だから、リアリティのある登場人物にするために、これまでの経験や出会った友達の姿を「当てはめて」作っていく。
テレビや映画で触れるものは、人の頭の中を勝手に埋め尽くしてしまう。しかし、どこかで見たようなものだけで作った演技が、人の心を動かすことはない。だから僕は、「ありがとう」という一言の台詞でも自分が今までの人生の中のシーンでどんな言い方をしたかを思い出してみる。ありがとう、と言いたかったのに何も言えなかった日を覚えていたとしたら、そういう演技のほうが強く伝わることもある。
自分の思いは、自分の熱意だ。それが人から人へ連鎖していくとき、僕は映画の現場に無限の可能性を感じる。その力をスクリーンを通して伝えるために、僕は作品に向き合うのだと思う。

 

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