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相馬 香織

ヘルスケア・サービス事業本部 へルスケア事業部
医療事業第二室 マネージャー

2016年7月に三井物産が出資したコロンビアアジアグループの経営統合(Post Merger Integration:以下PMI)を東京で進める相馬は、現場に足を運ぶ大切さや、新たなチーム体制を整える難しさなど、これまでの経験を糧にして、ヘルスケア事業に取り組んでいる。


三井物産のヘルスケアエコシステムの中核的存在の1つコロンビアアジアグループは、マレーシア・インド・インドネシア・ベトナム・ナイロビの5か国に27病院、2クリニックを展開し、主にアジアの中間所得層を対象に、外来と簡易な入院治療を中心とした医療サービスを提供している。
相馬は、このグループのPMIを進める本店チームのリーダーだ。

三井物産に入社した相馬は、化学品分野の業務部に配属され、稟議の審査や関係会社の管理業務などを担当。日本の農薬を中南米に販売する事業に携わったのち、2010年11月にベルギーの子会社に出向した。
「私たちの使命は、ドイツの化学メーカーに製造受託している土壌燻蒸剤(土を殺菌する農薬)の欧州での販売促進でした」
2年余りのベルギー滞在中、相馬は、のちの仕事に役立つ出来事を経験した。
着任早々、日本の農薬メーカーからの日本人出向者1名とともに、ベルギー人従業員2名の計4名で構成される新チームの体制構築に取り組んだ。
「入社5年目の私は、右も左もわからない土地で、本来の仕事に並行して、2名のベルギー人社員のモチベーションをどう維持するかなど、会社の体制も新たに整えなければなりませんでした」

農薬の販売促進の仕事は順調に進んだ。1年目、西欧での販売数を伸ばした相馬たちは、未開拓だった東欧での販促に乗り出した。
「ポーランドやハンガリーの農家を訪ねて歩きました。農家が何に困っているのか、現地で直接お話を伺い、その解決策として農薬を販売するうちに『マーケティングで一番大切なのは、現場の声を聞くことだ』と実感しました」

2013年3月、帰国した相馬は、東南アジアへの農薬の販売などを担当したあと、翌年ヘルスケア事業部へ異動。新興市場を中心とした病院事業および病院周辺事業への投資を進める業務に携わることになった。

主な業務は2つ。1つは、IHH傘下の事業会社への差入れ取締役の補佐と膨大な取締役会資料の事前チェックなどの株主業務。もう1つが、IHHの病院経営の知見を活かし、当時M&Aの交渉中だったコロンビアアジアグループの運営状況の実態調査だった。
「27病院の運営状況は健全か、グループの病院がある国の医療制度やマーケットのマクロ環境はどうなっているか、各病院の圏内にどんな競合相手が存在するかなどを調査し、事業的に問題がないか、分析・精査する仕事でした」
ベルギーでの経験から「現場」を重視する相馬は、デュー・デリジェンス専門のコンサルタント会社の現地調査にも、チームメンバーで手分けし極力同行した。各病院の経営状態や圏内の競合状況を自らの目で確認し、アジアで急増する中間所得層の医療需要への対応が急務であることを痛感した。

2016年7月、投資が実行されたコロンビアアジアグループに関しては、出資参画後にいかに付加価値をつけていくか、M&Aの効果を最大化するためのPMIのフェーズに移行した。
同年8月から、相馬はPMIを進める本店チームのリーダーとして、3名のメンバーを率いている。

「これからが本番です」と語る相馬が最も注力しているのは、コロンビアアジアグループの戦略策定と内部統制の整備だ。
「ベルギーの2年間で、確りと会社を運営し成長させるには、長期的な成長戦略の策定と内部統制が重要だと学びました。現在、コロンビアアジアの2020年の在り姿を見据えた長期的成長戦略の策定に着手しています。また、地道なプロセスですが、組織が成長し拡大する上で、制度や職務権限規程などといった新たな社内ルールの整備が必須です。ベルギーでの経験を踏まえて、三井物産が持つノウハウを活かしながら、コロンビアアジアのPMIを着実に進めていきます」

そう語る相馬には、もう1つ、使命がある。チームメンバーの育成だ。
「これからは、チームリーダーとして、みんなで成長していける環境をつくらなければなりません。『私にはどんなリーダーシップがとれるのだろう?』と、ずいぶん悩みました」
「いまはまだ試行錯誤の連続ですが、メンバーが毎日、会社に来るのが楽しくなるような、ワクワクできる場をつくるよう心がけています。また、シンガポールで病院経営の専門人材を採用し、PMI支援や新規案件の調査などを行う関係会社を設立するとともに、その会社に若手社員を派遣しできるだけ現場の近くで病院経営のノウハウ吸収を目的とする成長の機会を創出する取り組みを行っています。自分らしさを大切に、女性らしく、しなやかなリーダーシップがとれるようになれればと思います」

そして相馬は、将来の夢をこう語った。
「尊敬している先輩のように、例えば関係会社の取締役として中長期的な視点も大切にしながら経営に携わり、新興国の医療環境の改善や発展にビジネスを通じて貢献していきたいです」

2016年11月掲載