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Alexandre Cortes

Mitsui & Co. (Brasil) S.A.
Manager of Transportation Project Department

ブラジル三井物産で鉄道事業部門のマネージャーを務めるAlexandreは、同国における旅客鉄道事業において、日本とブラジルの考え方や仕事の進め方の違いを理解し、現地パートナーとの協業を円滑に進めるための重要な役割を果たしている。


Alexandre Cortes

父や伯父、兄弟がブラジルの都市鉄道会社に勤務していたAlexandreは、幼い頃から鉄道が大好きだった。前職は鉄道エンジニアリングサービス会社に勤めていて、その際、Alexandreは三井物産と仕事をする機会があった。そのとき、真剣に仕事に取り組む三井物産の社員を見て、感銘を受けたという。

「私は『三井物産で働くことができれば、自分にとって素晴らしいチャンスになる』と確信しました。一般的に、ブラジル人は日本人の仕事に取り組む姿勢を評価していると思います。私自身も、日本人の仕事の進め方に影響を受けました」

1999年、Alexandreはブラジル三井物産に入社した。鉄道貨物事業に携わったあと、2007年から2年間、日本語・ビジネス研修員として日本に滞在した。
「日本の鉄道システムは世界一だと知っていましたが、実際に体験した列車の定時運行のレベルの高さには驚きました。ブラジルから見学に来た顧客たちを何度か案内しましたが、日本の鉄道会社の職員の仕事の質の高さ、安全に対する意識の高さとその社員教育に驚かされていました」

Alexandreが日本に発つ直前、三井物産はサンパウロ地下鉄4号線の建設・運営事業に出資参画した。同事業に出資参画するブラジル大手企業の1社が、このときの取り組みを通じて、三井物産のグローバルな事業展開、サプライヤーとの良好な関係、健全な財務基盤などを認識した。やがて、同社と三井物産は旅客鉄道事業でのさらなる協業の可能性を探り始め、2012年には議論が本格化した。

「私は、ブラジル社員代表として、三井物産本店と現地パートナー候補先の間を中継するサッカーに例えればミッドフィルダーのような役割を果たしてきました」とAlexandreは笑顔でふり返るが、そこには相当な苦労もあった。

契約が合意に達するまで、三井物産本店の主要関係者は、慎重に交渉を進めた。旅客鉄道事業は多くの一般市民を運ぶビジネスであり、運営する企業の責任は大きいため、慎重になるのは当然だった。また、日本とブラジルの仕事の進め方のちがいも影響していた。日本では、新たな事業に参入する場合、綿密なリスク分析を行うため、意思決定に時間がかかることがある。ただ、それらについては、結果的にプラス面が多かった。Alexandreは「慎重さと徹底的なリスク分析のおかげで、より望ましい成果を生み出したのも事実でした」とふり返る。

Alexandre Cortes

日本とブラジルでは時差があるので、Alexandreは深夜まで会社に残り、東京のメンバーと議論することも少なくなかった。
「本店から何度も確認や報告を求められて、タフな状況が続きましたが、この事業は三井物産にとって意義があると信じていたので、私は決して諦めませんでした」
こうして、2014年11月、三井物産は現地パートナーと旅客鉄道事業に本格的に参画する契約を締結した。

現地パートナーとの合弁会社の資産の1つである、リオデジャネイロ州近郊鉄道(SuperVia)は、40年以上の運営実績を持っていたが、設備は古く、メンテナンスがよく行き届いているとは言い難い状況だった。三井物産の役割は、SuperViaの運営とメンテナンスの体制を改善することだった。

SuperViaの事業改善で、三井物産は何ができるかを協議するために、現在、Alexandreは毎日のように同社に通っている。

「入館証も持っていて、まるでSupreViaの従業員になったみたいです」と冗談めかして語るAlexandreは、表情を引き締めて、こう続けた。「ここ数年、三井物産は確実にSuperViaのサービスの質の向上に貢献しています。私たちは、そのことを誇りに思っています」

同合弁会社のもう1つの資産であるリオデジャネイロLRT(Light Rail Transit)は、2016年7月に商業運行開始した。世界でもドバイでしか採用されていない最新式の路面電車である。このLRTは、地上から電力を供給するので、電柱も架線も必要ない。そのため、100年以上の歴史的建造物が立ち並ぶ大通りの美しい景観を損なうことなく、沿線地域の渋滞や大気汚染の解消に貢献している。
「テスト走行のとき、この現代的な移動システムに興奮しているリオ市民の様子を見て、『ブラジル国家の発展に貢献できた』という手ごたえを感じました。自分の妻と子どもにも『これは父さんの仕事なんだよ』って自慢しますよ」

Alexandreは「旅客鉄道事業の可能性は無限に広がる」と考えている。

「これまで旅客鉄道事業で培ってきた知見は、ブラジルの他の地域だけでなく、より巨大な市場を潜在的に持っている他の新興国にも活かすことができます。これからも、私たちは旅客鉄道事業で世界中の人々の生活に付加価値を提供し、豊かな暮らしの実現をサポートできると信じています」

2016年7月掲載