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斎藤 健太

金属資源本部 鉄鉱石部
ブラジル事業室長

「三井物産は2003年9月、ブラジルVale社の持株会社であるValepar社の株式15%を取得し、役員差入れなどを通じてVale社への経営参画を果たしましたが、私はその9か月前の2003年1月に、部内異動でこの株式取得検討チームに加わりました。クロージングに至るまでの間、交渉条件の分析や、デューディリジェンス(価値やリスクの調査)、社内承認取得に明け暮れました。そしてこの大型案件にチームの一員として携わったことは、大きな経験になりました」鉄鉱石部ブラジル事業室長の斎藤はVale社と自身の関わりをそう語る。

斎藤は入社後、鉄鉱石輸入に関する決済業務や製鉄会社の輸入実務代行を担当した後、西豪州での1年間の研修を含め、三井物産が参画するローブリバーやBHPなどの豪州鉄鉱石プロジェクトの投資管理に携わった。そして入社8年目にブラジル担当になってすぐの経験がVale社への出資だった。

世界第1位の鉄鉱石サプライヤーであるVale社は、鉄鉱石のみならず、ボーキサイト、銅、金、マンガン、ニッケルなど、ブラジルの鉱山資源開発を一手に担い、国営石油会社Petrobras社と並んでブラジル経済を支える巨大企業だ。2015年現在、三井物産はVale社主要株主の中で唯一実業に知見ある企業として経営に貢献すると同時に、原料・資機材の供給から投資プロジェクトへの共同出資まで幅広い分野で協業している。

三井物産は、複数の営業本部にまたがる全社横断的に関わる企業に対して「クライアントオフィサー」とその事務局を置き、情報共有促進や営業部署間の調整と支援を行っている。ブラジル事業室はVale社のクライアントオフィサー事務局として、9営業本部のVale社案件に関与するが、協議・検討した案件はアライアンス締結以降の13年間で40件を超す。

最近の出資参画を絡めた主要な取り組みを挙げると、Vale社が開発を進めるペルーのリン鉱石プロジェクトの操業安定化・コスト削減協力、Vale社がブラジルで運営する一般貨物輸送事業(VLI社)の農業生産・集荷販売事業や貨車リース事業との連携、モザンビークで開発中のモアティーズ炭鉱およびナカラ回廊鉄道・港湾インフラ事業での操業向上やファイナンス組成など、三井物産はVale社の事業展開に欠かせないパートナーとして総合力を発揮している。

「アライアンス締結以降、三井物産はVale社の事業を、株主およびビジネスパートナーとして、資金や戦略面、マーケティングなどさまざまな形でサポートしています。Vale社の拡大展開に、『for the best interest of the project』の理念を通じてパートナー間の長期的な信頼関係を築き、三井物産も保有資産や資源を拡大していく。総合商社しかやっていないこうした取り組みの広がりは、多面的で非常にエキサイティングです」

2004年にVale社との交換研修プログラム参加と併せ、ブラジルに半年間滞在したことも大きな糧になった。ポルトガル語を習得するために、3か月間はベロホリゾンテでホームステイし、先生と1日7時間、1対1で勉強をした。ホームステイ先に戻ってからも宿題や復習が続いた。初めは全く分からなかった言葉も、気が付けばテレビのニュースも新聞も理解できるようになった。「仕事は英語を使うことも多いですが、Valepar社株主業務はすべてがポルトガル語です」開始12年になるVale社との交換研修では、参加者たちとその後も実業を通じて交流が続き、まさしくVale社の至る所に気心の知れた仲間が増えていく。

今、資源産業は商品市況が下がって事業環境は厳しい状況にある。しかし斎藤は「そんな時だからこそ、商社にはビジネスチャンスがあります。Vale社経営陣や、資源産業に携わる人々の言葉に耳を傾け、彼らが何に困っているかを理解し、当社が新しいビジネスに取り組む糸口を日々探しています。商社の仕事は、物流や投資といった枠組みにとらわれることなく、ヒト・モノ・カネの流れに価値を与えていくこと。サプライチェーンを追っていけば、どこかに糸口をみつけることができます」と前向きだ。

これからも、ホスト国の課題やニーズに応える仕事を通じて、長期的な目線で国創りの一端を担っていく。

2015年9月掲載