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う〜ん、やっかいだなあ————中学2年生の翔太は、パソコンの前で困り果てていた。

「さっきから、なに悩んでいるんだ」。いつの間にかそばに立っていた父から尋ねられた翔太は、素直に相談してみることにした。

「学校で"10年後の自分の姿"っていう宿題が出たんだけど、なんだかピンとこなくてさ」と翔太は打ち明けた。

(ははぁん、よくある課題だな)と思った父は、自信ありげに「10年後っていったら、大学も卒業しているころだな。だったら、自分が将来、どんな仕事をしているかってことを考えればいいんじゃないのか」と答えた。「これで決まり! はい、問題解決」と思いきや、意外にも翔太の表情はさらに曇ってしまった。

「だから悩んでるんだ。僕が望んでいるような仕事をしている人なんて、これまで一度も会ったこともないし、テレビでも観たことないから……。第一、そんな会社がこの世に存在しているかどうかだって見当も付かない」

「おまえが望んでいること?」

翔太が将来のことについて、本気で父と話すのはこれが初めてだった。彼は、正直に胸の内をぶつけてみようと思った。「中学に入る前だったかな。漠然と考えていたんだけど、僕、世界に飛び出して、その国の人たちの役に立てるような、大きな仕事がしたいんだ」。笑われるかと思った。しかし、父は真剣な顔で聞いていた。翔太は照れ隠しにまくしたてた。

「ほら、ニュースなんかで『グローバル化』とか『国際貢献』とか、そんな言葉、最近よく聞くじゃない。世界を舞台に、自分の力を試しながら成長できて、しかも、何か人の役に立つような仕事……。でも、そんなことをやってる会社なんて、夢みたいでさ。イメージがつかめないっていうか、なんていうか……」

父は笑みを浮かべて言った。「だったら『総合商社』で働くっていうのは、どうだ」。

「ソウゴウ……ショウシャ?」

父はパソコン画面をのぞきこむと、キーボードを叩き、あるサイトにアクセスした。「これを見てごらん。三井物産という総合商社のサイトがわかり易いよ。きっと、おまえが将来の夢を叶えるヒントになると思うよ」。

心なしか、うれしそうに立ち去る父の背中を見送ったあと、翔太はパソコン画面に視線を戻した。

「何なに……『必要なのはキミの「挑戦する気持ち」と「創造力」。私たち《ブッサンジン》といっしょに町づくりのお手伝いをして、"総合商社 三井物産"の仕事を体験してみよう』か。《ブッサンジン》って、何だ? 聞いたことないよ。でも、なんだかおもしろそうなサイトだな」

ちょっぴりワクワクしながら、翔太は〈スタート〉ボタンをクリックした……。

※役職・所属は2012年3月時点のものです。

©日経BP社 「日経ビジネスオンライン スペシャル」 初出:2011年12月1日〜2012年3月31日

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