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平成24年(2012年)入社式挨拶

2012年4月2日


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皆さん、入社おめでとうございます。社長の飯島です。

環境認識 ~日本の再生に向けて

今から一年前、ちょうど皆さんの採用面接を始めようとした矢先に、東日本大震災と大津波がこの国を襲い、多くの尊い命を奪い、人々の生活に計り知れない影響を与えました。被災された方々の辛苦は今なお続いており、復興へ向けて、官民が連携した粘り強い対応が求められています。
この一年を振り返ると、本当にさまざまなことが起こりました。

まず、震災がもたらした原発事故と電力不足をきっかけに、日本のエネルギー政策の在り方が根本から議論されています。製造業を中心に企業の海外シフトが加速する中で、震災に伴うサプライチェーンの混乱や、原子力発電を代替するためのLNGの輸入量増加等により、昨年は日本の貿易収支が赤字へと転落しました。同時に、国家財政の健全化、少子高齢化への対応、さまざまな規制の見直し、そしてTPPに代表される経済連携の推進など、震災前から日本が抱えている様々な課題が待ったなしの状況になっています。

このようなさまざまな変化や課題に直面する中で、震災からの復興を、日本再生のきっかけとしていくことが大事なことだと思います。日本の再生は、単に元に戻すだけでなく、新たな日本へと進化を遂げるものです。そして、私たち、三井物産は、日本の再生のために、本業を通じてしっかりと貢献していきたいという、強い思いを抱いています。

海外に目を向けると、足元では、欧州の財政・金融不安やイランをめぐる情勢など、いつ深刻な危機に陥っても不思議ではない状況が続いています。いくつかの主要国でそれぞれのリーダーを決める選挙が予定されていることも、先行きの見通しを難しくする要因となっています。一方、大きなトレンドとしては、70億人の世界人口が2050年には90億人を超えることが予想される中、世界経済は、その成長エンジンを先進国から新興国へとシフトさせつつ、新たな発展ステージに入っていくことが期待されています。そこでは、資源や環境などの重要な問題も多々ありますが、それを乗り越えることで、より豊かな未来が開けていくものと確信しています。

そして、拡大し豊かになる世界の活力を取り込んで日本も成長していくことが必要であり、私たちの目の前にチャンスは広がっています。こういった視点に立ち、三井物産は日本を元気にし、世界を豊かにすべく貢献していきたいと考えています。

三井物産という会社 ~世のため人のため

1876年、益田孝は、欧米人が当時の日本の貿易を主導する中、日本人の手による貿易を行い、日本を欧米の列強と伍する産業・貿易国にしたいという高い志を抱いて、旧三井物産を創業しました。

明治時代に貿易を興すことを目指した三井物産は、戦前の軽工業の振興、戦後の高度成長期における原材料の輸入と製品の輸出、そしてエネルギー資源の確保といった形で、世の中のニーズに応える仕事を積み重ねてきました。その歴史の中で、人々と社会のニーズに応え、そのための事業や産業を興すという三井物産のDNAは、今も変わらず連綿と引き継がれており、皆さんの中にも受け継がれていきます。

震災をきっかけとした日本再生への貢献という思いは、このDNAの現れといえます。このDNAは、「大切な地球と、そこに住む人々の夢溢れる未来作りに貢献します」という当社のミッションにも表現されています。

このような世のため、人のためになる仕事は、質の高い仕事であり、社員一人ひとりが、やりがいを感じる「良い仕事」です。「眼前の利に迷い、永遠の利を忘れるごときことなく、遠大な希望を抱かれることを望む」という益田孝の言葉も、まさに人々と社会のために事業を興し、日本を良い国にしようという遠大な挑戦への思いを語ったものでありました。

皆さんへ

私たちを取り巻くビジネス環境を俯瞰してみますと、かつて経験したことのない速さでさまざまな変化が起きていることを実感します。変化が加速し、「不確実性」がこれまで以上に高まっていく中で、過去の成功パターンは通用しません。だからこそ、今年の年頭の辞で、私は「現状維持は破滅である」と強調しました。世の中の多様なニーズの変化に応じて、業態を絶え間なく柔軟に進化させていくことが求められますが、その柔軟性こそが、今も当社の力の源泉です。

「不確実性」が高い時代は、既成概念が崩れる一方、斬新な発想を試すチャンスが増える時でもあります。そのような中で、今日、実社会への第一歩を踏み出そうとしている皆さんに最初に申し上げたいことは、「恐れるべきは挑戦しないことだ」ということです。何も挑戦しなければ、挑戦しなかった時間をただ失うばかりでなく、変化の中で新たな創造を起こすことができず、やがては衰退へとつながっていきます。

そして、皆さんには、ぜひ、好奇心と二つの「そうぞう力」(想像力・創造力)を大切にしてほしいと思います。
一つは、大いなるイマジネーションを働かせる想像力、もう一つは新しいものをクリエートしていく力である創造力です。
好奇心をもって次の時代のニーズを敏感に察知し、想像力をもって変化をチャンスへと変え、新たな価値を創造していく、それが「挑戦と創造」ということです。

「人の三井」といわれるように、三井物産は、人を育てることに一生懸命な会社です。三井物産は、皆さんに自己研鑽と自己実現の場を提供します。日々の仕事を通じて、スキルや知識を習得し、失敗や挫折を経験して謙虚さを学び、仕事を任されることで責任感が強まっていきます。さまざまな国や地域の人たちと交わることで、異なる文化や価値観を受け入れる度量が生まれてきます。皆さんには、あらゆる経験を前向きにとらえ、主体的に、存分に、目の前の課題に取り組み、研鑽を積んで、心技双方のバランスを備えた人に成長してほしいと思います。

結び ~新たな日本と世界のために

日本の企業のグローバル化がますます進む中で、海外事業で得られる収益を国内に還流し、日本においても環境、ライフサイエンス、観光などの新たな産業を興していくことが、わが国の成長を維持するために求められています。世界は、人口の増加とともにその経済を拡大させ、豊かさを手に入れていくと申しましたが、それに伴うエネルギー、食糧、水といった基礎的な資源の確保、医療サービスの拡充、そして環境問題への対応といった課題も抱えています。こうした日本や世界のさまざまなニーズに応える仕事の創造に、皆さんと一緒に挑戦していきたいと思っています。

皆さんの新鮮な好奇心が変化を捉え、斬新な発想が新しい仕事を創り、三井物産という会社が今よりもさらに「強く」「輝いて魅力ある」会社となるよう、皆さんと一緒に絶え間ない進化を実現していきたいと思っています。そして、仕事を通じて、新たな日本と世界の発展に貢献していきたいと、私は心から願ってやみません。

最後に、皆さんが心身共に健康でこれからの三井物産での生活が充実したものとなりますよう祈念して、私の挨拶とします。本日はおめでとうございます。

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