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機能化学品本部における不適切な取引の判明、及びそれに係る債権の回収遅延について

2009年4月24日


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三井物産株式会社(本社:東京都千代田区、社長:飯島彰己)機能化学品本部の営業部において、インドネシア他東南アジア向け輸出貿易取引に係る債権の一部に回収遅延が発生、これに端を発し、本取引の内容を過去数年間に遡り調査いたしました。その結果、売買として会計処理されていた本取引と関連する取引の一部には売買の実体が無かったことが判明いたしましたので、その概要について下記のとおりご報告いたします。
内部統制において不備があったと認識しており、株主、投資家、取引先及びその他関係者の皆様に、深くお詫び申し上げます。今後このような事案を二度と起こさぬ様、営業現場での管理の再徹底、業務プロセス上のコントロールの強化、人材流動化の促進について再発防止策を策定し可及的速やかに実施いたします。
なお、本件による過年度決算の訂正は行わず、また業績への影響は軽微です。

1. 取引の概要

表記の件に関する調査により、当社が認識している事案の概要は以下の通りです。

(1)当社介在以前より、インドネシア企業グループ(以下「Aグループ」)のインドネシア他東南アジアの拠点(以下合わせて「販売先A」)では、日本のメーカー(以下「国内メーカー」)が製造する製品(以下「本商品」)を輸入していました。

取引の概要

(2)当社機能化学品本部の営業部(以下「担当部」)は、2004年4月より本商品をAグループ(以下「仕入先A」)から購入し、販売先Aに販売する輸出貿易取引(上図ご参照)を開始しました。(後段(3)に記載する間接取引を含め、以下「本貿易取引」) 本貿易取引の契約上、当社から仕入先Aへの支払い条件はBL(Bill of Lading、船荷証券)記載の船積日から15日後、販売先Aから当社への支払い条件はBL記載の船積日から180日後とされており、当社介在によりAグループとして商品代金の165日分に相当する金融を受ける仕組みでした。

(3)本貿易取引開始当初に、当社はAグループに対し一定の与信枠を設定し、その枠内で取引を行うことを本貿易取引の社内許可条件としていました。しかし、2005年1月頃本貿易取引額が増加し、与信枠を超える取引需要が生じた際に、本貿易取引を担当していた当社の3名の従業員(以下「本担当者」)は、当該許可条件の変更を申請せず、新たな取引先(以下「間接取引先」)を介して販売先Aに本商品を販売する間接取引を開始しましたが、本商品の実質的な売り先が販売先Aであることを社内に明示しておりませんでした。更に本担当者は社内規定上必要な手続きを経ず、間接取引先に対し、販売先Aに対する間接取引先の債権回収リスクを当社が負担する旨口頭で約束していました。最終的に、間接取引先の数は当社の既存取引先を中心に計15社になったことが判明しております。

(4)又、本来であれば当社の販売先である販売先A(間接取引の場合は間接取引先)から当社に支払われるべき本貿易取引販売代金が、本貿易取引上の仕入先Aから支払われるケースが発生しておりましたが、本担当者は販売先A及び間接取引先への帳簿上の本貿易取引債権に、その支払われた金員を充当する等の処理を行っておりました。

2. 調査の経緯

(1)本貿易取引においては、2008年4月頃より1ヶ月程の入金遅延があり、その後同年7月頃から更に遅延が顕著となりました。また、同じく2008年7月には、定例内部監査において、同一企業グループ内取引に介在しながら適切な受渡証憑書類が整っていないとの指摘を受けたことを契機として機能化学品本部業務部が中心となって本貿易取引の分析調査を開始したところ、前述の間接取引の存在が発覚しました。このため、担当部は本貿易取引からの段階的撤退を決定し、当時は取引に実体があるとの認識の下、2008年8月7日付けの船積を最後に本貿易取引を中止しました。同時に、担当部は、Aグループ並びに間接取引先との間で債権回収交渉を開始しました。

(2)その後、債権回収交渉の進捗を早めるために、本貿易取引全体の内容を詳細に把握することとし、2009年1月中旬から社外の公認会計士を起用して関係書類の精査を行ったところ、請求書及びその証憑書類に偽造、改竄が疑われる取引が2月初めまでに発見され、ここで売買の実在に疑義が生じる事態となりました。

(3)かかる事態を受け当社は、2009年1月下旬に担当取締役の管轄下に、機能化学品本部長(当時の化学品第二本部長)が指揮する特別調査チームとして、以前より本調査に個別に関わっていた社内関連部署職員並びに社外の弁護士及び公認会計士を統合し、調査体制を増強しました。同チームは本担当者ほか当時の担当部在籍者を含む社内関係者及び社外関係先から事情聴取を行う一方、調査対象を拡大して、本担当者が従事した他の商品の輸出及び外国間関連取引(以下「関連取引」)に係る帳簿・証憑の検証作業を行うなどの調査を行いました。

3. 調査により判明した事実、及び本貿易取引及び関連取引の影響額

(1)2004年4月以降2008年8月に停止するまでの本貿易取引において、偽造、改竄が疑われる請求書及びその証憑書類等が多数発見されたことから、本貿易取引は全て売買の実体が無い取引と判断致しました。また、関連取引に関しても、同様に売買の実体がないと判断される取引が一部確認されました。

(2)2005年3月期から2009年3月期までの5年間累計で本貿易取引の売上高は約506億円、売上総利益は約21億円です。また関連取引の一部において売買の実体が無いと判断される取引に関しては5年間累計で売上高約12億円、売上総利益約5百万円となっており、合計して売上高約518億円、売上総利益約21億円となります。本来であれば当社財務諸表上で売上取引として計上すべきではありませんでしたが、当該売上高が当社全体の連結売上高に占める割合は各年度共に0.1%以下であり、過年度財務報告への影響は軽微と考えられることから、金額的重要性の観点より決算修正を行いません。

(単位:百万円)

※下記表は横にスクロールしてご覧ください。

  2005年3月期 2006年3月期 2007年3月期 2008年3月期 2009年3月期
当社全体連結売上高 13,615,047 14,885,728 15,357,656 17,009,056 15,500,000※
本貿易取引売上高 6,111 12,766 15,727 13,350 3,801
本貿易取引売上高が全体に占める割合 0.04% 0.09% 0.10% 0.08% 0.02%

※4月22日公表の予想値

4. 2009年3月末債権残高及び回収遅延額

(1)債権残高、回収遅延額及び関連する会計処理
2009年3月末における、本貿易取引の債権残高は約56億円で、全額支払い期限が到来しております。尚、Aグループは2008年9月末時点の残高確認書において、当社債権残高全額について債務の確認をしております。当社では担保の取得、債権保全策の強化、弁済計画の策定・管理、法的手段の実行などあらゆる選択肢を検討し、債権の早期回収に尽力いたします。

(2)当期業績見通しについて
4月22日に発表いたしました当期業績見通し (連結当期純利益,1,800億円)について変更はありません。

5. 問題点と再発防止策

(1)本貿易取引の発見遅延の主たる原因
本貿易取引は、当社が本商品の船積み手配等の輸出手続きを一切行わない取引形態であったため、営業現場及び管理部署において取引実態の全容が正確に把握されていませんでした。また、受渡しを確認するための証憑書類の内容や販売先からの入金状況について、営業現場管理職による精査・確認が不十分だったことが、本貿易取引の問題の発見を遅らせる原因となりました。

(2)今回の問題を受けての緊急点検
本貿易取引の発覚を受けて以下の緊急点検を実施しましたが、いずれにおいても問題ある取引は発見されませんでした。

i)基礎化学品本部(当時の化学品第一本部)・機能化学品本部を対象とした点検(実施時期:2009年2月)

点検1 対象期間 2008年4月から12月の9ヶ月間
点検内容 直接受渡業務に関与していない輸出・外国間取引の売買の実体の確認
点検2 対象期間 2008年10月から12月の3ヶ月間
点検内容 入金処理の適切性の確認

ii)本店内の全ての営業本部を対象とした点検(実施時期:2009年2月)

点検1 対象期間 2008年12月
点検内容 直接受渡業務に関与していない輸出・外国間取引の売買の実体の確認
点検2 対象期間 2008年12月
点検内容 入金処理の適切性の確認

(3) 再発防止策
本貿易取引が発生した機能化学品本部に留まらず、当社グループの全役職員に対して本発表と同時に社長名による通知を行い、続いてコンプライアンス担当部署及び内部統制部署から業務通知を出すほか、研修等により問題意識を喚起し、意識の再徹底を図ります。また、本事案の調査の過程で洗い出された問題点や要改善点に基づき、不正防止に向けた営業現場での管理再徹底と業務プロセス上のコントロール強化を中心に、以下の諸施策を可及的速やかに実施致します。尚、当社が輸出手続きを行わない取引の実態確認、債権計上先とは異なる相手先からの入金処理に関しては、本年2月より業務プロセス上のコントロール強化を実施しております。

[営業現場での管理の再徹底]

1) 営業現場における取引実態の全体像把握

  • 営業担当者、及び管理者による取引先往訪や受渡現場の確認といった基本動作の再徹底を通じて、取引先の業態把握や取引の実体確認を行います。
  • 取引実態の全体像についてコーポレート部門と情報を共有することにより、その取引におけるリスクの所在を明らかにし、客先与信管理等のリスクマネジメントが有効に機能するよう、管理体制を強化します。
  • 機能化学品本部内に業務プロセス管理チームを設置のうえ、営業担当者、管理者以外の第三者による受渡証憑等関係書類の内容確認モニタリングを強化することにより、取引の実体確認、異常性発見を徹底します。

[業務プロセス管理部署による業務プロセス上のコントロール強化]

2)売上計上時における受渡の実体確認徹底

  • 物流手配を行わない輸出・外国間取引については、コーポレート部門が売上計上時に受渡証憑書類等の精査を再度徹底する一方、例外的な受渡確認書類に基づく売上計上については、個別に内容確認を都度行うこととし、異常性発見機能を強化します。
  • 海外取引先に対して網羅的な債権残高確認を実施することにより、債権計上先の適切性確認を徹底し、取引実態を正しく反映した経理処理の精度向上を図ります。

3)入金業務プロセスにおける適切性の確認徹底

  • 営業取引に係る入金処理を毎月モニタリングし、債権計上先とは異なる相手先からの入金処理の確認を徹底する等により、入金処理の適切性を確保します。

[人材流動化の促進]

4)人事ローテーションによる担当替え

  • 機能化学品本部における同一事業領域内での人事ローテーションや長期滞留を排除し、人材流動化を促進することにより、異常取引の発見機能が有効に働くよう担当替えを促進します。

6. 本担当者及びその他関係者に対する対応

判明した調査の結果を踏まえ、社内規定に則り、本担当者並びに管理監督責任を負うべき者に対する厳正な処分を行います。

ご注意:
本発表資料には、将来に関する記述が含まれています。こうした記述はリスクや不確実性を内包するものであり、経営環境の変化などにより実際とは異なる可能性があることにご留意ください。また、本発表資料は、日本国内外を問わず一切の投資勧誘またはそれに類する行為を目的として作成されたものではありません。

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