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渡辺 真由美

流通事業本部 海外事業開発部 米州・EMEA事業室
室長補佐

2005年、米国系企業から三井物産の法務部に中途入社。海外現地法人での駐在経験を経て、ビジネスをつくる営業の仕事を志願。これまでの幅広い経験から得た視点や知見を活かしながら、現場で新たな価値の創造に挑戦している。


渡辺 真由美

米国系企業2社に通算7年勤めた渡辺が、三井物産に転職した理由は「総合商社の多面性ある仕事に興味があり、中でも三井物産は『“個”の力』を尊重する組織であることが面接でも感じられたから」だという。
2005年1月、三井物産に入社した渡辺は、前職のキャリアを買われ、法務部に配属された。
「当社の法務は常々『法律が得意なビジネスパーソンであれ』と言われています。様々な分野の事業を深く理解しようと努めるうち、『一度自らが営業の仕事をしてみることで、困難な判断が必要となる場面での法務アドバイスの説得力をさらに高めることができるのではないか?』と思うようになりました」
2007年、渡辺はロンドンの現地法人に配属され、EMEA・CIS担当チームリーダーとして、ロシアやスペインの投資案件の契約交渉、中東の訴訟対応など、法務として様々な案件に携わった。
この“ロンドン時代”は渡辺の仕事に対する考え方に大きな影響を与えた。

現地法人では、法務部と営業部の距離は近く、交渉に同行する回数も増えたため、渡辺には、営業の人間が何に悩み、どこに喜びがあるのか、肌で感じることができた。
「苦労と喜びがわかればわかるほど、ビジネスをつくる営業の仕事を経験してみたいとの思いが強くなりました」
駐在期間が1年過ぎた頃から渡辺は週末を使って、ビジネススクールとロースクールに通った。2011年に日本に戻ってからも、ロシア、欧州、中東の案件に法務として携わりながら勉強を続け両校を卒業。2014年4月、熱意と実績を評価した上司の後押しもあり、営業部に配属された。

渡辺は、主業務として担当する海外での新規事業開拓・組成などと並行して、三井物産とCHSが50/50の議決権を持つ「ベンチュラ・フーズ」の事業管理も担当した。同社の業績などのモニタリング、決算の社内宛報告や取締役会議事録のチェックなどを一通り経験。同社の重要戦略となるM&A案件では、対象企業の財務、法務、人事、税務の状況など、株主として承認するのに必要な情報を短期間ですべて集めた。また、三井物産の社内基準に満たなければ問題点を明確化し、必要に応じて法務部時代に数多く経験した当社の他投資案件での知見を共有した。

渡辺 真由美

その際、渡辺が最も留意したのは「所有と経営の分離が一般的な米国的経営の自律性を重んじること」だった。
「三井物産の稟議の基準や契約書の形式を押し付けたり、事細かな点まで報告するよう求めたりすると、ベンチュラ・フーズの経営者のモチベーションが下がってしまう。ですから、信頼できる部分は任せ、株主としてどうしても押さえたい部分だけコンセンサスを得るようにしました」
一方で、ベンチュラ・フーズのCEO、CHSのCEOやCOOと役員会で同席した渡辺は、米国流の経営スタイルと経営者の立ち振る舞いも学んだ。
「彼らは、社内会議では、自分がリーダーであることを明確にしたうえで、部下の自律性を尊重し、意見も引き立てながら結論へ導いてゆく。役員会で株主に戦略を説明するときも、株主やチームの納得感を高めるための下地作り、コミュニケーションの間合いの取り方、全てが絶妙でした」

2016年5月、渡辺は、現部署に異動し、現在は、米国、欧州、中東、アフリカでの食・リテール分野の新規事業の開拓と組成を担当している。 「通常、当社の部署は商品ごとに分かれますが、海外事業開発部では、商品の枠を超え、食品ビジネス全般を横串的にとらえて、新規案件の開拓を実施しています」営業の仕事にどっぷり浸かることで、担当事業分野の在り姿や戦略の策定、新規案件の構想から現場での案件開拓・醸成まで幅広く経験。法務部時代に多角的な視点を磨いた渡辺には、うってつけの仕事と言えた。
前職で異なるビジネス環境を体験した渡辺は「三井物産の強み」をこう分析する。
「三井物産には、長い歴史の中で積み上げられた知見と実績、さまざまな事情によって案件として実現できなかったものも含めて、様々な「個」が自ら考え挑戦してきた足跡があります。こういうことをやりたいと思ったときに、社内のネットワークや関係がありそうな部署をたどっていくとそこには先人たちの挑戦の足跡が残っていて、そのうえに新たなイノベーションを積み上げていくことができる。それが三井物産の大きな強みだと思います。だからこそ、自らも問い合わせを受けたときは持っているものをできる限り共有したいと思いますし、発信しようと努めています」
そして、渡辺は今後の展望についてこう語った。
「営業部に異動してからの仕事を通じて、経営の在り方についても多くの気づきや知見を得ることができました。法務と営業で培ってきた経験と知見をさらに発展させ、横断的な視点をもって面で対応する総合商社ならではの強みを「個」のレベルでも突き詰め、確りと役割を果たしていきたいです」

2017年3月掲載