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田中 康平

三井物産モスクワ有限会社
次世代・機能推進課

2014年8月、田中は自ら手を挙げ、第1期のKarugamo Worksに参加した。このプロジェクトで、田中は、様々な営業本部から集まったメンバーたちとともに、学生時代に抱いた"夢"を「次世代ビジネスの開発」というかたちでかなえることになった。


大学院時代、田中の研究テーマは「宇宙太陽光発電」だった。宇宙に浮かぶ太陽光パネルから地上に電力を送る発電システムの研究で、実験に必要な小型の人工衛星も作っていた。大学院を修了する際、研究者の道に進むことも考えたが、「人々が必要とするモノやコトを届けて、世界の発展に貢献する」という商社の仕事に興味を覚えた田中は、三井物産に入社した。

田中 康平

ICT事業本部に配属された田中は、さまざまな事業に真摯に取り組みながら、人工衛星による次世代事業の開発も模索していた。そんな田中にとって、Karugamo Worksは、学生時代からの念願を果たす絶好のチャンスだった。
「ICT事業本部にも新たな発想や未開拓分野に挑戦しやすい風土はありましたが、『他の本部のメンバーと一緒に取り組む』という条件に魅力を感じて、Karugamo Worksに応募しました」
そう回想するように、「本部の枠を超えたチーム編成」は、予想以上の効果をもたらした。

田中がKarugamo Worksで提案したのは、超小型衛星を設計開発するベンチャー企業「アクセルスペース」への投資だった。ただ、当初、小型衛星の具体的な活用方法までは設計しきれていなかった。
「Karugamo Worksの私のチームには、エネルギー、プロジェクト、食料、化学品などの本部などから参加したメンバーがいたので、『衛星画像をこう分析すれば、うちの本部のクライアントに役立てられる』『私の本部で衛星を使えば、こんな新事業につながる』などと活発に議論が進みました」
結果、既存のニーズである衛星画像の販売に加えて、ICT事業本部が得意とするデータ解析技術を活用することによる 資源の探査、インフラ・交通設備の監視、精密農業、都市開発に役立つ情報提供など、それぞれの本部に所属するメンバーだからこそ具体化できるアイデアが、次々と生み出された。

田中 康平

やがて、枠にとらわれない発想を続ける田中たちは、他のチームのメンバーはもちろん、Karugamo Worksに参加していない社員にも積極的にアドバイスを求めるようになった。
「おかげで、社内にいろんなネットワークが広がって、さまざまな領域での次世代事業の開発が検討できました」
1週間に数回の会議も含めて、Karugamo Worksには業務全体の20%の時間を充てることができた。しかし、ICT事業本部の現業も重要な局面を迎えていたため、田中は多忙を極めた。それでも、笑顔でこう振り返る。
「所属も年齢も役職も関係なく、メンバーたちと自由闊達に議論した日々は、本当に楽しかった」
こうして、多様な領域で新事業を創出する「超小型衛星事業」への投資案件が構築された。

田中はプランに自信を持っていた。しかし、Karugamo Worksを統括する「イノベーション推進委員会」の会議に呼ばれたときは、さすがに緊張したという。
「副社長や営業本部長がずらりと並んだ前で、自分のような若手がプレゼンするなんて、通常は考えられません。とても貴重な経験でした。前日にはチーム全員が集まって、侃侃諤諤の議論を重ねながら深夜までプレゼンの練習をしたことも、非常に印象に残っています」
2015年9月、三井物産はアクセルスペースに出資した。田中の夢は、総合商社として多種多様な専門領域を誇る三井物産だからこそ実現できる新事業として、また、エネルギー問題や食糧問題など世界が抱える深刻な課題の解決に貢献できる次世代ビジネスとして、見事に結実した。その後の取り組みに関しては、ICT事業本部に引き継がれた。

2015年10月、田中はモスクワに異動した。現在、ロシア・CIS地域での新規事業の開発に取り組んでいる。
「モスクワでは1つのフロアに全営業本部が集まっているので、何かアイデアがあれば、ICT事業本部はもちろん、ちがう本部の人にもすぐに相談しています。異なるバックグランドの人の話を聞けば、具現化するための方法や、さらに大きなアイデアも得られます。Karugamo Worksの経験は、今でも役立っています」

最後に、田中にとってのKarugamo Worksとは何か、尋ねた。
「チャレンジ精神の旺盛な人たちが集まり、所属本部も先輩後輩も関係なく何でも言い合えた点では、いかにも三井物産らしい"場"でした。これからも、Karugamo Worksで学んだことを活かして、新たなアイデアや未開拓の領域に果敢に挑み、世界中で次世代ビジネスを創っていきたいです」

2016年5月掲載