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福原 浩一郎

PT. PAITON ENERGY
社長

インドネシア共和国は、ジャワ島を初めとする5つの主な島と13,000以上の小さな島々から成る。国民の約8割がイスラム教徒で、大半はマレー系だが、ほかにも300を超える民族を抱える多民族国家で、言語、宗教も多様性に満ちている。
そんなインドネシアの首都であり、東南アジア諸国連合(ASEAN)の本部も置かれている東南アジアの中心都市「ジャカルタ」にパイトンエナジー社はある。

三井物産から出向し、2013年12月から パイトンエナジー社(PT. Paiton Energy)の社長を務める福原は言う。

「社長としての仕事は、インドネシア国の電力供給において基幹設備であるパイトンIおよびパイトンIIIの両発電所を安全に操業し、事業を安定的に運営していくことです。そのためには、インドネシア政府・日本政府・電力公社であるPLNの支援を得つつ、地元の雇用の創出、地域の教育・医療・衛生への支援などを含めた地域貢献、周辺環境改善などにも取り組みながら、事業の持続的な成長を実現する必要があり、やりがいのある仕事だと思っています」

パイトンエナジー社のあるジャカルタでは、福原とエンジーから出向しているフランス人の副社長のほか、約20名のインドネシア人社員が働いており、発電所のあるパイトンの現場では約400人のインドネシア人社員が働いている。パイトンエナジー社と発電所で働く外国人は6人のみで、福原らには高い経営能力やコミュニケーション能力が求められている。

「共通言語として使っている英語については、私も彼らもネイティブではないので、コミュニケーションの面で苦労もあります。ただ、胸襟を開いて、じっくり話し合えば、同じアジア人であり、お互いに通じるものはあります」

そう話す福原に、仕事上で特に気をつけていることを尋ねると、「スタッフの働きやすい職場環境作りです。ジャワ島の電力需要の10%を賄うという大規模事業を運営していると、毎日、色々なことが起きますが、社員が気軽に社長に相談できる雰囲気をつくって、悪いことでもすぐ報告が上がる風通しのいい組織にしようと心がけています」

「スタッフにはよく『こうすればどうなるかな?』、『こんなふうにしたら良くなるんじゃないか?』という話をするのですが『とても良い助言をしてくれるので。本当にありがたい』と感謝してくれます。そんなときは『やっぱり心を開いて親身に話してよかった』と思いますね」。

ジャカルタでの暮らしにも満足しているという。
「インドネシア人の気質は、日本人に似たところが多く、基本的に、インドネシア人に悪い人間はいないので、一緒に仕事をしていても楽しい。ジャカルタは大都市ですから、日本料理店もあり、生活する上で苦労や不便を感じることは余りありません」

ただ、インドネシアの経済成長のスピードに対する発電容量の足りなさは、強く感じるという。
「現在、国民1人当たりのGDPは3500ドルくらいですが、これがどんどん上がって、先進国並みの1万ドルに迫れば迫るほど、電気の消費量は格段に広がり、今の状況ではまったく足らなくなるでしょう」

そのような状況のもと、現地では、パイトンエナジーや三井物産に対する期待が非常に大きいという。
「インドネシアでは、IPPを行う事業者は何社かありますが、パイトンIはインドネシアで最も古くから発電しているIPPで、パイトンⅢは契約納期通りに高効率の発電所を完成させたIPPであり、更に両ユニット共に設備の信頼性、電力供給の貢献度も高いので、業界の関係者の集まりに行けば、必ずリスペクトされます。パイトンエナジーと三井物産の発電事業は、納期を厳守し、安定供給を維持し続ける非常に成功した事例なので、『同じようなIPP事業をほかでもやりませんか』という話を度々もらっています」

「これからも、発電設備を故障させず、安定的に電力を供給し続けることで、インドネシアのみなさんの生活レベルの向上に役立ちたい」という言葉に続けて、福原は、これからのインドネシアに対して日本ができることについて語った。「インドネシアの国民は、平均年齢が30歳と非常に若い。どこに行っても、国力のポテンシャルの高さを感じます。『このインドネシアの若者たちの成長に日本人が手助けできれば、この国は、もう1段、もう2段、成長できる。そういう日本人の努力に、この国は必ず応えてくれるだろう』といつも思っています」と福原は言葉に力をこめた。

「この国に対する各国の援助の方法をみても、日本人や日本企業のやり方は少しちがう。若い彼らが自ら成長できるようなアプローチをしている、Win-Winの関係を追及している日本が、一番、インドネシアの発展に貢献しているように思います」

最後に、福原は「インドネシア政府や電力公社であるPLN社、日本政府の支援を得つつ、インフラ整備や電力の安定的供給などによって、これからもインドネシアの経済成長に貢献し、国民の暮らしがより豊かになるように少しでも役立つことが使命です」と語った。

2015年9月掲載