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Business Innovation

社内イノベーション・ラボで次世代ビジネスを創出

営業本部の枠を越えた案件を発掘・開発する社内イノベーション・ラボKarugamo Works(かるがもワークス)は、三井物産の未来をひらく次世代ビジネスの創造という重要なミッションに取り組んでいます。


ビジネスを取り巻く環境はかつてないほどの速さで変化しています。三井物産は、これまでも時代の流れにあわせて業態を変化させてきたように、環境変化にあわせたイノベーションに取り組んでいます。

2012年4月に、三井物産は中期経営計画の重点施策である次世代ビジネスの創造を後押しするために「イノベーション推進委員会」を発足させました。同委員会発足後、「イノベーション推進案件制度」を新設し、営業本部・地域本部が失敗を恐れずに挑戦と創造の精神で新事業領域の創出につなげることを制度面から支援。戦略上の有意性が有り、当社にとって将来的に大きな収益貢献が期待出来る「重要な事業価値」を持つ可能性があり、市場規模や社会や顧客への価値貢献が大きいなどの「重要なニーズ」を有し、更に市場性が予見出来ない長い時間軸を前提としたような「不確実要因」が内在するという3つの要素が揃うことを認定基準としました。
「イノベーション推進案件」として認定されれば、挑戦したことへのプラスの業績評価などのインセンティブが与えられます。現在までに、サブサハラアフリカ(サハラ砂漠以南)14か国でのLTEによる高速モバイルデータ通信事業など、9案件が事業化されました。

一方、更なる挑戦と創造を加速するべく、各営業本部の枠組みを超えた案件や異業種融合による案件等、個人のアイディアを吸い上げつつ、全社機能を結集して考える場として2014年夏に立ち上げられたプロジェクトがKarugamo Works(かるがもワークス)です。
第1期では、各営業本部などから新規事業開発に強い関心を持つ44名の有志が集められました。入社2年目から53歳までの年齢も役職も経験も多種多様なメンバーは、「農業・水産」や「新交通システム」などテーマごとに本部横断的に10チームに分かれ、各自の通常業務もこなしながら、1年間、20%の時間をKarugamo Worksでの取り組みに当てました。
その結果、第1期のKarugamo Worksからは、2つの次世代ビジネスが創出されたのです。

植物タンパクで食糧問題の解決に貢献

植物タンパクで食糧問題の解決に貢献

Karugamo Worksの第1号案件は、植物タンパクの食品ベンチャー企業への出資を通じ日本・アジアへの展開を図る案件です。
2012年11月にサンフランシスコで設立された「Hampton Creek., Inc.(HC社)」は、さまざまな植物タンパクについて、粘性や水溶性、水と油を混ぜる能力など、機能特性や分子特性を分類・数値化しています。そのビッグデータを活用して、鶏卵の動物タンパクと似た植物タンパクを特定し、“植物卵”とでも言うべき食品原料を作りました。鶏卵とはちがい、原材料はえんどう豆などの植物なので、アレルギーフリー、コレステロールフリーなどの特徴があります。
HC社の“植物卵”はスターバックスのクッキー生地に使用されています。また、同社が“植物卵”で作った「ジャストマヨ」や「ジャストクッキー」は、ウォルマートやターゲットなどの米国大手小売店で販売されています。
2050年、世界人口は97億人になると予測されています。とりわけ中間所得者層が増加することで、肉や卵や乳製品など動物タンパクの需要の急増が見込まれます。飼料となる穀物の栽培には、水をはじめとする膨大な資源が必要になるため、家畜の増産には限界があります。HC社の事業は、この動物タンパクを植物タンパクで代替するという「重要なニーズ」と、世界的な食糧問題の解決に貢献するという「重要な事業価値」を持っていました。しかし、一方で、HC社の製品がどこまで世界で受け入れられるのか、という「不確実要因」があり、従来の枠組みではなかなか投資出来ずにいましたが、Karugamo Worksのメンバーが当該事業の価値に着目し、日本・アジアに展開するという当社にとって重要な事業価値を確保する為に渡米しHC社と交渉したことでイノベーション推進案件として認定され、2015年9月、三井物産は、投資ファンドを除く事業会社による初めての出資としてHC社の増資引受契約を締結し、1,500万USドル(約18億円)を出資したのです。

衛星情報を自社のプラットフォームに

衛星情報を自社のプラットフォームに

Karugamo Worksの第2号案件は、超小型衛星を開発するベンチャー企業への出資を通じた全社横串プラットフォーム案件です。
2008年8月、東京大学・東京工業大学の卒業生が設立した「アクセルスペース」は、超小型衛星を開発し、「ウェザーニューズ」から受託した打ち上げ実績も持っています。2015年9月、三井物産はアクセルスペースに出資。2017年には超小型衛星3基の打ち上げ、将来的には50基の打ち上げを計画しています。

同社が開発する衛星には2つの強みがあります。
1つは「宇宙での実績」。厳しい環境での動作が求められる人工衛星において、大学時代に複数の衛星開発に関わったメンバーが多数在籍する「アクセルスペース」ではすでに2機の衛星の打ち上げに成功しており、リスクの大きい宇宙の分野に対して、技術的な優位性は世界のライバルの一歩先を進んでいます。
そしてもう1つの強みが「低コスト」。重さ60kg程度、大きさ50cm四方と超小型で、通常は1基あたり数十~数百億円かかる費用を10億円以下にできるため、コストを抑えた複数基の運用体制を構築すれば、地球上の全陸地の約半分、人間が経済活動を行う地域のほぼ全てを毎日撮影することも可能です。
衛星画像データには、近年、気象情報、森林観測、資源探査などの「重要なニーズ」が急増しています。衛星画像と分析を組み合わせれば、多種多様な新規事業の開発につながります。
たとえば、交通情報、太陽光発電の発電量予測、精密農業での土壌や収穫時期の分析、インフラストラクチャーやパイプラインの監視および防御などさまざまな用途が想定され、当社にとって非常に高い「重要な事業価値」が見込まれるのです。営業本部の枠を超えたKarugamo Worksだからこそ発掘・開発できた案件と言えます。

次の世代の360° business innovation.に向けて

2015年夏から始まった第2期のKarugamo Worksでは、第1期と同様の仕組みで各営業本部から28名が集まり、メンバー同士で各人のプレゼンに投票し、得票数の多かったアイディアに自主的に集まるかたちで7チームを編成した協創型と、誰もが自由に応募できる直接応募型を採用。今年も、いくつかの案件が生まれるかもしれません。
Karugamo Worksにはもう1つ、重要な使命があります。年齢、背景、専門が全く異なる他部門の社員とチームを組み、世の中のニーズを多角度から議論し、更に当社としての事業価値を常に踏まえながら、仮説を立て、社外にコンタクトして無から案件を創りだす"社内オープンイノベーション"を経験することで、「三井物産らしさ」を学ぶ場でもあるのです。
Karugamo Worksは、当社の"360° business innovation."を象徴するプログラムとして、これからの時代を切り拓くビジネスの開発に取り組みます。

2016年5月掲載